ほくろが気になる。顔にメスを入れるのに抵抗感
左眼の下のところに、黒いほくろがあります。年齢のせいかと思って、そのままにしておきました。大きさは直径2ミリほどです。しかし、なんとなく気になりだして、近くにできた皮膚科医院で診てもらいました。医院では「メラノーマの疑いもあります。たぶん、早期だと思います。手術で切除すれば治ります」と言われました。検査もしないで、診るだけで診断はつくのでしょうか。また、顔にメスを入れることに抵抗を感じています。治療法は、手術しかないのでしょうか。
(福岡県 女性 62歳)
A 生検による確定診断が大切。基底細胞がんも考慮に
大きさが直径2ミリほどとのことですから視診だけでメラノーマ(悪性黒色腫)と診断することは非常に難しいでしょう。皮膚の病変を大きく拡大して観察するダーモスコピー(エコージェルもしくは偏光フィルタを用いて皮膚内面の色素分布を観察する特殊な皮膚拡大鏡による検査)を用いた診断を受けたほうがよいかと思います。それでも、診断は難しい場合があります。診断の確定には生検が有効です。腫瘍を残らず切除して組織診断をします。
一般的には、大きさが5ミリ以下ならメラノーマの可能性は低いと考えられます。大きさが6ミリから7ミリへと急に大きくなったときには、メラノーマの疑いがあります。ご相談者の場合には、大きさが直径2ミリ程度とのことですから、メラノーマの可能性は低いかもしれません。ただし、直径2ミリでも、メラノーマの初期という場合もありますから、生検による確定診断が大切です。
もう1つ、眼の下にできたとのことですから基底細胞がんの疑いもあります。基底細胞がんの場合、手術で切除することが治療法の基本です。確定診断は、切除した細胞を顕微鏡下で調べて行います。手術による切除が確定診断にもなるわけです。基底細胞がんを念頭においておくことも大切です。
顔の黒いほくろを取り除く治療法としては、レーザー治療や液体窒素を用いた冷凍凝固療法があります。顔にメスを入れることに抵抗を感じていらっしゃるとのことですから、こうした治療を受けたいと思われているのかも知れません。しかし、こうした治療を受けると、もともとあった細胞がどのようなものだったのかわからなくなり、確定診断が難しくなります。このことからも、手術をお勧めします。
いずれにしても、直径2ミリのものの切除なら手術後の傷跡は小さいため、ほとんど気になりません。もうしばらくの間、経過を見るのもよいでしょうが、ほくろが大きくなってから切除した場合、手術後の顔の傷跡も大きくなります。後悔しないような治療選択をしてください。