顔面の基底細胞がん。ベストの治療法は?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2011年10月
更新:2013年12月

  

いびつな形のほくろのようなものが頬にでき、1センチ大になったので放置できないと思い、くわしく検査した結果、色素性・結節型の基底細胞がんと診断されました。私は顔になるべく傷をつけたくありません。主治医は私のような例では手術の成績がよく、美容面も心配いらないといいますが、光線力学的療法と掻破+電気凝固療法の併用なら美容を損なわず、成績も手術に劣らないとも聞きました。治療効果と美容面で最善の治療法はどれでしょうか。

(神奈川県 女性 43歳)

A 手術を勧める

基底細胞がんは皮膚がんの中で最も多く、高齢者によく生じます。また、顔や首といった部位に好発するため、日光の紫外線が原因の1つと考えられています。ただし、転移することはほとんどなく、予後のよいがんです。

色素性・結節型は日本人には典型的なタイプの基底細胞がんといっていいでしょう。色素性はメラニン色素を含んで黒ずんでおり、結節型は扁平でなく、盛り上がっているタイプです。いぼやほくろと間違えられることもありますが、光沢のある黒い色調で中央部がへこんで潰瘍化することが特徴で、典型例では見た目やダーモスコピーという器械を使って正確な診断をすることが可能です。発生部位が頬、大きさが1センチほどなので、よくある基底細胞がんの1つといえますが、高齢者に多い基底細胞がんにしては、ご相談者がまだ若いことに留意すべきでしょう。

結論から申し上げると、こうしたケースであれば、手術をお勧めします。主治医の判断は妥当といえるでしょう。

手術以外の治療法としては、放射線治療が考えられます。放射線治療の成績は手術に遜色ないか、やや再発率が高い程度といわれています。ただし、色素沈着のほか、皮膚が硬くなったり、ただれたりする副作用もあるので、手術に比べて必ずしも美容面で優れているとは限りません。また、ご相談者がまだ若いため、晩期障害といわれる2次発がんのリスクが高まることも問題です。

ご相談にあった光線力学的療法とは、光に反応する特殊な薬をがんに取り込ませてからがんに光を当てて、がん細胞を選択的に死滅させる治療法。正常組織をほとんど傷つけないため、美容を保つには優れた方法です。しかし、色素性ではレーザーがメラニン色素に吸収されてしまい、結節型ではレーザーががん全体に届きにくいため、残念ながら十分な効果を得られないでしょう。

また、掻破+電気凝固療法とは、がんを削り取ってから、そのあとをレーザーで焼き切る治療法ですが、日本ではほとんど行われていません。それにがんが1センチ程度になると、がんを削り取ったあとが瘢痕になる可能性が高いため、美容面でも問題があります。確かに光線力学的療法と掻破+電気凝固療法併用の報告もありますが、現実的な治療法とはいえず、ご相談者のケースでは手術に匹敵する効果を期待できないでしょう。

手術では再発を防ぐため、がん周囲の皮膚や組織も広めに切除するので、美容を損なうと敬遠されがちです。

しかし、頬の1センチ大のがんであれば、しわに合わせて手術の傷跡を目立たなくすることも可能です。そのまま縫い合わせるとひきつれが強くなる場合には、局所皮弁といってまわりの皮膚を切り寄せる手術法もあるので、医師に相談するとよいでしょう。

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