股間の乳房外パジェット病。術後補助療法が必要か

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2011年10月
更新:2013年12月

  

痛がゆい股間の炎症が長期間続き、市販薬をつけても一向に治らないので病院で調べたところ、乳房外パジェット病と診断されました。しかも、悪性の浸潤がんの可能性が大きいといわれ、ショックを受けています。主治医は手術でがんとその周囲を広範囲に切除し、放射線治療などの術後補助療法を行うことになるだろうといっていますが、術後補助療法も必要でしょうか。

(山形県 男性 54歳)

A 術後補助療法の有効性は不明

乳房外パジェット病は陰部にできることが多い皮膚がんの1種で、乳がんの1種である乳房パジェット病や肛門がんに伴う2次性の乳房外パジェット病とは区別されます。アポクリン腺(汗腺の1つ)から発生すると考えられることが多く、陰部以外でもまれに腋の下や臍や肛門周囲にできることがあり、かゆみやただれを伴うことがあります。高齢者に好発し、わが国では男性に多い傾向があります。

典型例では進行は遅いことが多く、早めに治療すれば予後は悪くありません。しかし、陰部にできるインキンタムシなどと勘違いされて放置されやすく、進行して医療機関を受診するケースもあります。また、乳房外パジェット病の中で、リンパ管を通じて多くのリンパ節に転移するものは予後が悪いタイプとして知られています。

表面がこぶのように盛り上がっていて、一見して浸潤がんとわかるものもありますが、厳密には手術後の病理検査結果を見なくては浸潤がんかどうかの確定診断はつきません。ただし、浸潤の有無や程度も重要ですが、ポイントはリンパ節転移があるかどうかです。リンパ節転移の程度で、予後が予測できるからです。

治療ではまず、手術でがんと周辺組織を切除します。リンパ節転移が少数個の場合は周辺リンパ節も郭清します。転移が多数の場合は残念ながらすでに遠隔転移をきたしている可能性が濃厚です。よく調べてみると、リンパ節や肝臓、骨などにがんが散らばっていることもあります。その場合、化学療法や放射線療法を行うことが多いのですが、決め手となる治療法はありません。リンパ節転移が複数個見つかった場合、ご相談者のように術後に放射線療法や化学療法が検討されることもありますが、有効性は明らかではありません。そのため、術後補助療法を行うかどうかは、患者さんの負担やご意向に応じて個々にご相談して決めているのが現状です。有効性が不明ですので、原則的にはお勧めしていません。

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