有棘細胞がんでリンパ節転移あり。放射線治療は必要?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2012年5月
更新:2013年12月

  

有棘細胞がんで、リンパ節転移があると診断されました。遠隔転移はありません。手術後に放射線治療を勧められていますが、行ったほうがいいのでしょうか。

(東京都 男性 58歳)

A がんが再発しやすい場合には放射線治療も行う

遠隔転移がなければ、手術あるいは放射線治療といった局所治療が勧められます。切除できる病巣であれば、まずはがんとリンパ節をしっかり取り除く手術が第1選択です。そのうえで、再発の可能性が高いと予想される場合には、手術後に放射線治療を行うことがあります。

「再発の可能性が高いと予想される場合」とは、以下のような場合です。

①転移したリンパ節が3cm以上の大きさになっていたり、または、リンパ節転移が複数個ある場合。

②がんが耳下腺を含む首などにあって、手術で十分な余裕をもって切除しきれない場合。

③リンパ節の外に、がんがはみ出して(浸潤して)いる場合。

④がんが、神経の周囲にくいこんでいる(浸潤して)いる場合。

⑤手術によって切除した断端にがんが認められ、再手術によって切除しきれない場合。

②や⑤の「切除しきれない」場合というのは、がんのできている位置などによって、がんをすべて取ろうとすると顔面神経を傷つけてしまう危険があるなど、切除によるデメリットが大きい場合です。顔面神経を傷つけると、瞼の開閉がしにくくなったり、口角が下がるなど生活上の不便を生じます。

さらに、目を摘出する等の身体機能を損なう場合、整容面の変化が受け入れにくい場合なども、がんを切除しきれないと判断されることがあります。

放射線照射は、一般に20~30数回程度の通院が必要ですが、照射部位や目的に応じて異なりますので、主治医や放射線治療医とご相談ください。

まずは、手術でがんとリンパ節が取りきれるものかどうか、また、再発の可能性が高いかどうかについて、術後の病理診断の結果を含め、主治医と相談されたらよろしいかと思います。

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