メラノーマの術後補助療法はしたほうがいいか?

回答者:並川 健二郎
国立がん研究センター中央病院 皮膚腫瘍科医師
発行:2012年5月
更新:2015年3月

  

メラノーマ(悪性黒色腫)の3期で、手術を受けました。術後の補助療法として、ダカルバジン、ニドラン、オンコビン、インターフェロンによるDAVフェロン療法を勧められました。これは、効果があるものなのでしょうか。メリット、デメリットについても教えてください。

(大阪府 男性 50歳)

A インターフェロンをやるかどうか検討を

メラノーマの3期では手術による治療を行いますが、術後に、4~5割という高率で再発します。そのため、再発を抑える術後補助療法が求められています。

しかし、残念ながら現在のところ、有効な治療法として確立した、副作用に見合う補助療法はありません。実際、ご質問のような件でセカンドオピニオンに訪れる患者さんもいます。

現在日本では、3期の患者さんには術後補助療法として、3つの選択肢を説明しています。①DAVフェロン療法(化学療法とインターフェロンの併用療法)を行う、②インターフェロンのみの治療を行う、③何もやらずに定期的な診察と画像検査のみを行う、というものです。

①は、化学療法のみの補助療法(DAV療法)よりもインターフェロンを併用した治療(DAVフェロン療法)のほうが有効であったという、1990年代に日本で行われた調査に基づくものです。

ただし、もともとメラノーマは化学療法が効きにくく、海外では抗がん剤を補助療法に用いる手法は80年代に既に否定されています。

化学療法の副作用を考えると高齢者には勧めにくく、また確率はごく低いですが、2次発がんや性腺機能障害の危険性もあるため、若年者への配慮も必要です。日本の皮膚悪性腫瘍ガイドライン初版では推奨度B~C1とされていますが、改訂版ではより低い推奨度に見直されるかもしれません。

メラノーマの術後補助療法として、世界中で最も多く検討されてきた薬剤はインターフェロンです。高用量のインターフェロンは再発予防に効果があるという結果が出ていますが、だるさ、抑うつ、肝障害、発熱といった副作用も強いため、広くは受け入れられていません。

日本では、②のインターフェロン療法がそれに相当しますが、低用量のインターフェロンを皮膚に注射するという方法が用いられています。この用量と投与法での大規模な臨床試験は行われておらず、安全性は高いといえますが、有効性が証明されているとは言い難いのが現状です。そこで、③の何もやらずに定期的な診察と画像検査のみを行うという選択肢が出てくるわけです。

米国では最近、ペグインターフェロンという薬剤を用いた補助療法の認可が下りました。作用時間が長いため、皮下注射の回数が少なくてすむという利点があり、再発を減らす効果も確認されています。ただ、高用量のインターフェロンと同様の副作用も生じるため、インターフェロンによる補助療法に向いている患者さんの適切な選別が、今後の課題の1つとされています。

ダカルバジン=一般名も同じ ニドラン=一般名ニムスチン オンコビン=一般名ビンクリスチン

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