自宅での看取り。子どもに死期を伝えるべきか
肺がんの妻(41歳)の病状が進んでおり、今後は在宅で看ることを考えています。その場合、5歳の娘と9歳の息子に、在宅で母親の苦しむ姿を見せて良いものなのか、最期のときが近いことを知らせるべきなのか悩んでいます。
(46歳 男性 愛媛県)
A 伝えないことは子どもの疎外感につながる
の大沢かおりさん
そうしたことを考える前に、「苦しむ姿」と書かれていますが、まずはつらい症状を取ることが先決です。しっかりと医師に症状コントロールをしてもらって下さい。その上で今回のご相談ですが、そのような厳しい話を子どもにすることは、親としてとてもつらいことと思います。知らせるべきかについては、死が予期されていたのに子どもに伝えていないと、亡くなった後に自分は尊重されていなかったと感じ、家族から疎外されているように感じることがあるため、話をする必要があるでしょう。
ただどれ位話をしたらいいのか、どのように話し始めたらいいのか難しいですよね。お子さんの認識を、質問して確認しながら話をすることを勧めています。「お母さんの病状のこと、どう思ってる?」と。するとお子さんから、心配なことを話し出すかもしれません。病状の進行に合わせて、「いつごろ亡くなってしまうかもしれないか、先生から言われたら聞きたい?」と聞き、「聞きたい」と答えたのであれば教え、「今は聞きたくない」と言われたら、いつでも聞きたくなったら聞いてくるよう伝え、無理はせず、ですが差し迫った時期であれば、しっかり話をすることは大切です。
お子さんたちに、可能であれば少し早い段階から、死をどれ位理解しているか確認し、理解していなければ教えていくことは準備としてできます。死とは、息をしなくなり、食べなくなり、痛みを感じなくなるなど、具体的に話します。そうした時に使える絵本などもあり、がんになった親や子どものサポート活動を行っている「Hope Tree」のホームページで紹介しています。そしてやがて死が近づいてきたら、改めてその時期が近くなったことを話します。
もし病状が厳しくなり、お子さんが怖がってお母さんのそばに寄れない場合は、怖くないように状態を説明した後に「こうして手を撫でてあげるとお母さんも気持ちいいよ」と実際に見せてあげると、安心して一緒に過ごせるようになるかと思います。