甲状腺の摘出手術後、声が出にくくなった
何かの拍子に首を触ったら、コロコロするしこりがありました。近隣の医師に診てもらったら「大丈夫でしょう」と言われそのままにしていました。しかし、いつまで経ってもこのしこりが治らないので、大学病院で診てもらい、そのしこりを摘出して良性か悪性か検査をしてもらいました。
細胞診検査の結果、鑑別困難と診断され、左側の甲状腺を摘出しました。手術後から手術した部分が癒着(ゆちゃく)して声が出にくくなりました。時間が経てば声は元のように出せるようになるのでしょうか。
(28歳 男性 岩手県)
A 術後早期からストレッチやマッサージを
内分泌外科教授の杉谷 巌さん
甲状腺の手術後に癒着が起こり、声が出にくくなったということですが、術後の違和感(喉が詰まる感じ、首の締めつけ感、声の変化など)は、傷の治る過程でどうしても皆さんが感じる症状です。手術の成否や病気の性質、再発などとはまったく無関係で、時間とともに少しずつ和らいでいきます。それに要する時間は2~3カ月から数年と、個人差が大きいようです。あまりその症状を気にせずに、早く日常生活のペースを取り戻せた方のほうが、回復は早いようです。
対策としては術後早期からのストレッチやマッサージをお勧めしています。手術の翌日以降、ドレーン(排液管)が入った場合はそれが抜けたら、始めてよいと考えています。できるだけ首をかばわないようにして、動かすことが大切です。
日本医科大学内分泌外科ではストレッチやマッサージの方法を書いたパンフレットを手術前に配布しています。
甲状腺手術後のセルフマッサージ
① のどぼとけの少し下に軽く指を押し当て、時計回り・反時計回りに、小さな円形に動かします
② 次に、①と同じ位置で大きな円を描くように、時計回り・反時計回りに動かします
③ ①と同じ位置を上下に垂直に動かします
④ 最後に傷口の部分を上下に垂直に動かします
・1日3回、①~④を10分間かけて毎日行います
・マッサージで痛みや不快感を感じたときは医師に相談してください