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たなか ゆうじ
1970年生まれ。徳島大学卒業。東京大学、都立駒込病院を経て、米国デューク大学に留学。
現在は東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワーク部門客員助手。
2000年、患者会血液患者コミュニティ「ももの木」を設立し、定期的な交流会を続けている
前回のコラムで紹介させていただいた全国骨髄バンク推進連絡協議会会長の大谷貴子さんの署名活動を報告します。なんと、骨髄フィルター問題解決のために呼びかけた署名は、6万5000を超えたそうです。患者さんの切実な訴えと、さらに彼女の人間的魅力が人をひきつけ、輪をつくり、そうして助け合いの心を広げたのですね。すごいです。そして、厚生労働大臣に署名と要望書を提出しました。この活動は世の中だけではなく医療界にも衝撃が走りました。まさに、患者さんから始まった患者さんのための医療改革です。
そんな大谷さんのもと、今日も多くの患者さんやご家族が相談に訪れています。大谷さんも全国を駆け回っているので、大谷さんが相談を受けに訪れているところもありますが……。なかでも最近また、大谷さんを動かした切実な問題が、7年前に発売された抗がん剤「グリベック」(一般名メシル酸イマチニブ)です。

この薬は主に、慢性骨髄性白血病の患者さんが使う飲み薬です。そして重要なのは、とても素晴らしい結果が出ていることです。従来の治療では7年生存率が4割弱だったのですが、このグリベックは7年生存率が8割近いのです。薬を飲み続けることで、寛解(※)を維持できているのです。
しかしその一方で、ずっと薬を飲み続ける必要があること、さらに、薬がとても高額であり、経済的な負担が大きいという問題があります。効果の高い薬だけに多くの患者さんが頼りにし、同時に頭を悩ませているのです。また、グリベックは従来の治療に比べて効果が高いだけではなく、副作用が少ないことも証明されています。ただ、入院する必要がない軽い副作用でも、仕事に支障が及ぶこともあります。例えば、下痢。下痢によりしょっちゅう会議を抜けなければならない。皆には病気のことを話していても、やはり十分には理解してもらえない、人間関係にも影響してしまうというのです。
大谷さんは今、まずは慢性骨髄性白血病の患者さんの病気や生活の実態を把握することから始めています。彼女から話を聞いた僕ら医療者や研究者は、その情熱に心を打たれました。そして僕たちも何かお手伝いしたい、自分たちでできるところからやっていこうということになり、アンケート調査を準備しています。
皆様の中でも、グリベックを飲まれている慢性骨髄性白血病の方でアンケートにご協力いただける方は、がんサポートの編集部までご連絡いただけませんでしょうか? 編集部より私のほうに連絡をいただけるようにお願いしています(下に応募方法を記載)。
患者さんの声から医療を変えていきたい。僕らができることでお手伝いしていきたいと思っています!!
※白血病では、白血病細胞が血液や骨髄の中から姿を消した状態を、寛解と表現します
アンケートはすでに終了いたしました