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私が目指すがん医療 7
~専門職としての取り組み、患者さんへの思い~
様々な診療科や職種をつなぐ横糸となって がん医療できらっと輝く病院を創りたい
がん医療の水準が向上したとはいえ、中央と地方の医療格差はまだまだ縮まっていない。地域に対応できる医療機関がないため、遠方のがん専門病院に通わざるをえない患者さんも多いのが実情だ。こうした中、千葉県松戸市郊外にある千葉西総合病院は2009年に外来化学療法センターを開設。同センター長を務める岡元るみ子さんに話を聞いた。
化学療法の流れをみなで見直し 患者さんの在院時間を短縮
「昨年(2013年)4月から、当院の外来化学療法センター長としてマネジメントを担当しています。外来で安心・安全で効果の高い化学療法を行うには、1人ひとりの患者さんのことをスタッフが十分把握し、副作用対策を説明することが大切です」
センター長として、まずは、外来での化学療法治療の業務を見直したそうですが。
「医師、看護師、薬剤師などスタッフがスムーズに連携できて働きやすいシステム作りが、患者さんの利益につながります。採血待ち、診察待ちなど、患者さんの待ち時間はどの施設でも問題になっていますが、これを細かく見直しました。
当院では、受付後は患者さんは直接外来化学療法センターに来てもらっています。センターの看護師はすぐに問診をし、体重測定やバイタルサインをチェック。患者さんの*血管確保と同時に採血をします。具合が悪いときは、いち早く主治医に状況を伝えることができます。病状や副作用の症状、処方希望などを事前にカルテに記載しておくことで、主治医は診察時にカルテを見て、患者さんの状態をひと目で把握することができます。これも時間短縮の1つですね」
患者さんが、外来治療にかける時間を無駄なく有効に使う工夫には、岡元さんの思いが込められているそうですが。
「症状緩和、延命目的で、外来で化学療法を行う患者さんも少なくありません。こうした方々にとって時間は大変貴重です。病院にいる時間を1分1秒でも短縮できれば、患者さんが生活を楽しむ時間がその分増えるのです。スタッフは患者さんのために何か改善できることはないかという気持ちを常にもっています。看護師と薬剤師は抗がん薬の滴下がスムーズになるよう、点滴ボトルのふくらみ具合まで相談しています」
様々な改善により、7時すぎまでかかった診療が定時に終わるようになったとか。
「以前より余裕をもって患者さんとコミュニケーションをとれるようになったと思います。『看護師がこれだけ頑張ってくれるのだから』と、主治医もこちらの提案に気持ちよく協力してくれます。まだまだ改善したいところはあります。今後は、センターを中心に副作用対策のセルフケア支援をより充実していきたいと思います」
*血管確保=静脈内に点滴針を留置し輸液路を確保する手技
自分が横糸となって 院内のスタッフをつなぎたい
「当院は循環器疾患の治療では有名な病院ですが、がん医療の拠点となるためには、院内スタッフみんなでがん治療に対する知識をさらに深めることが必要です。そこで月1回、がん治療の勉強会を開催しています。センターの看護師や医師、薬剤師、歯科衛生士、理学療法士、栄養士などが講師となり、他職種の仕事内容を学ぶことで、それぞれの役割もはっきりしてきます」
抗がん薬のIVナース(静脈注射認定看護師)の育成も行われているそうですね。
「以前は、抗がん薬用の血管確保は医師が行い、その分診察時間が削られていました。外来化学療法センター看護師が主体的に『抗がん剤IVナース育成コース』を年2回、(講義、実技、筆記試験)を行っています。現在、外来はもちろん入院でも看護師が熟練した手技を発揮しており、『看護師さんが優しく点滴の針を刺してくれる』と患者さんからも大好評です」
岡元さんは同時に腫瘍内科医として、他科主治医からのがん治療のコンサルテーションに対応し、腫瘍内科としては悪性リンパ腫を中心に治療体制を整えている。
「今後も、他科の医師やスタッフと協力しながら、患者さんが安心して治療が受けられるようにしたい。自分が横糸となって、様々な職種や専門の人々をつなぎながら、きらっと輝く、患者さんから選ばれる病院を創っていきたいと思います」
Let’s Team Oncology ― 患者さん・医療従事者のみなさんへ
勉強会などの交流で連携を深めましょう
がん治療には、様々な診療科や多職種と連携していくチームワークが欠かせません。もちろんチームの中心である患者さんには「何でも聞いてください」とみなで声をかけるようにしています。さらに、当センターの看護師が化学療法の専門知識を病棟看護師に伝えられるよう、がんリンクナースの制度も立ち上げました。このように、職種の枠を越えて治療に力を結集できるよう、日頃から勉強会などを通じてお互いの仕事内容を勉強し交流を深めています。
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