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アバスチン特有の副作用と抗がん剤の副作用の両方に対応
非小細胞肺がん薬物療法の副作用とその対策

監修:里内美弥子 兵庫県立がんセンター呼吸器内科部長
取材・文:柄川昭彦
発行:2010年6月
更新:2013年4月

  

里内美弥子さん 兵庫県立がんセンター
呼吸器内科部長の
里内美弥子さん

アバスチンを含む併用化学療法で、好中球減少の副作用は高頻度に見られるが、手洗いなどで感染に注意すれば、深刻な発熱性の好中球減少症に発展するケースは必ずしも多くない。
アバスチン特有の副作用では高血圧があるので、家庭で血圧をチェック。たとえ高くなっても、降圧薬でコントロール可能だ。


アバスチンの副作用と抗がん剤全般の副作用

分子標的薬のアバスチン(一般名ベバシズマブ)が、肺がんの治療に用いられるようになった。プラチナ製剤を含む併用療法に、アバスチンを加える治療が基本である。

日本では、従来から使われていたパラプラチン(一般名カルボプラチン)とタキソール(一般名パクリタキセル)の併用であるCP療法に、アバスチンを加えることが多い。国内外の臨床試験でも、この併用療法で優れた治療成績を残している。

このようなアバスチンを含む併用療法では、一般的な抗がん剤による副作用の他に、アバスチン特有の副作用にも注意する必要がある。兵庫県立がんセンターの里内美弥子さんは、次のように指摘する。

「アバスチンは血管新生に関わる因子に作用して、血管新生を阻害する薬です。そのため、出血しやすくなる、傷の治りが悪くなるなど、血管に関係する副作用が出ることがあります。これは、一般的な抗がん剤の副作用とは全く違うので、前もって知識を持っておくことが大切です」

まず、アバスチンの特徴的な副作用から解説していくことにしよう。

最も避けたいアバスチンの副作用は肺から出血する「喀血」

肺がんの治療にアバスチンを使用した場合、最も怖い副作用は、肺からの出血で起こる喀血である。

「起こる頻度は低いのですが、出血量が多かった場合には、窒息死することも考えられます。喀血を防ぐために大切なのは、リスクのある患者さんを治療の対象から外すことです。そのため、アバスチンは過去に喀血の経験がある人には、投与できないことになっています」

アバスチンの添付文書を見ると、喀血(2.5ミリリットル以上の鮮血の喀出)の既往のある患者に対してアバスチンは禁忌である、と明記されている。2.5ミリリットルとは小さじ半分の量。痰に少し血が混じる程度ではなく、血液の塊として認識できるような場合には、この量に達しているという。

「アバスチンによる副作用で最もよく見られるのは高血圧です。約半数の人に現れます。また、もともと高血圧の人が、アバスチンの投与で悪化することも考えられます。ただし、この高血圧は、降圧薬で問題なくコントロールできます」

したがって、見落とさないで対処していけば、高血圧はあまり心配はいらない。見落とさないために、自宅での血圧測定が勧められている。

その他、頻度は低いが、血管が詰まる塞栓症、腎臓の障害によるたんぱく尿などの副作用が現れることがある。腎臓は血管の塊のような臓器なので、影響を受けやすいのだというがほとんど無処置で回復する軽度なものである。

抗がん剤治療で最もつらいのは投与後の1週間

抗がん剤で起こる副作用は、表1にまとめたように多種多様である。もちろん、これらがすべて起こるわけではない。可能性がある症状を集めると、こうなるということだ。

[表1 抗がん剤によって起こる副作用]

アレルギー 発疹、気管支挟窄、血圧低下、ショックなど
感冒様症状 全身倦怠感、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など
消化器症状 食欲不振、体重減少、嘔気、下痢、便秘、口内炎、しゃっくり、腸閉塞など
末梢神経症状 四肢など知覚異常(しびれ、疹痛)、味覚・嗅覚障害、神経因性膀胱など
整脈炎・血管炎、血管痛  
脱毛  
骨髄抑制 白血球(好中球)・血小板・赤血球減少
感染(肺炎・腎盂炎など)  
肝障害  
腎障害  
間質性肺炎  
その他 肺水腫、肺梗塞、心筋梗塞、心不全、不整脈、脳卒中、腸管穿孔、膵炎など

これらの副作用は、患者さんが自分でわかる副作用と、検査でわかる副作用に分類できる。図1は、それぞれの副作用が、投与後のどの時期に、どの程度の強さで現れるのかを図式化したものである。

[図1 副作用の現れる時期と強さ]
図1 副作用の現れる時期と強さ

投与直後の1週間はなかなか大変だ。吐き気や嘔吐、食欲低下、全身倦怠感などが集中して起こる。1週間が過ぎるとそれはよくなり、口内炎などが始まる。2~3週間後には脱毛。しびれなどの神経症状が現れることもある。

「患者さんが1番つらいのは、なんといっても最初の1週間ですね。パクリタキセルを投与していると、この時期に筋肉痛や関節痛が起こることもあります。ただ、患者さんがつらく感じていても、それによって大きな弊害が起こることはありません。医師にとって気になるのは、10日頃から始まり、14日あたりでピークとなる骨髄抑制です」

抗がん剤の副作用で骨髄の働きが衰えると、血液中の血球を十分に作り出せなくなる。免疫に関わる好中球が減少すると、感染症などが起きやすくなってしまうのだ。骨髄抑制の状況を調べるため、必要に応じて血液検査が行われる。

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