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免疫チェックポイント阻害薬は、発現しやすい副作用を知っておくことが大事

監修●久保田 馨 日本医科大学付属病院がん診療センター長
取材・文●半沢裕子
発行:2018年12月
更新:2019年7月

  

「免疫チェックポイント阻害薬の副作用は、チーム医療で取り組み、早めの対処が重要です」と語る日本医科大学付属病院がん診療センター長の久保田馨さん

本庶佑・京都大学特別教授のノーベル医学賞受賞により、一般にも知られるようになった免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ。この薬剤は、がん細胞を直接攻撃するこれまでの細胞障害性抗がん薬や分子標的薬とは異なる作用機序でがんと闘う。効果が長期間持続し、副作用の頻度が少ないとされ、近年世界的に開発競争が過熱。すでに承認されている薬剤に関しても、異なるがん種への適応拡大が続々行われている。

その一方で、頻度は少ないとはいえ、多種多様な副作用が発現する可能性があり、免疫に関連した独自の副作用が起きることも明らかになってきた。免疫チェックポイント阻害薬の主な副作用とその対処方法について伺った。

がん細胞がかける免疫のブレーキを外す

もともと免疫細胞には、免疫が過剰に働いて正常な細胞まで攻撃しないよう抑える、ブレーキのようなシステムが備わっている。このシステムは「免疫チェックポイント機構」と呼ばれている。がん細胞はこの機構を利用して免疫にブレーキをかけ、免疫細胞に攻撃されないようにする。免疫チェックポイント阻害薬はこの抑制機構が働かないようにすることで、免疫細胞ががんを攻撃できるようにする。直接がん細胞を標的とするこれまでの抗がん薬治療とはまったく異なる作用機序をもつ治療法なのだ。

免疫チェックポイント阻害薬が登場した当初は、従来の抗がん薬と比べてがんを抑える効果が高く、副作用の頻度が少ないことで注目された。例えば、治療歴のある進行非小細胞肺がん患者を対象にオプジーボと抗がん薬タキソテールの有効性を比較検証した臨床試験(CheckMate-017試験)では、グレード3と4の副作用の発現割合が、タキソテールで55%だったのに対し、オプジーボは7%と報告されている。つまり、上記の比較試験ではグレードの高い副作用発現割合がタキソテールよりもオプジーボが低いという結果になったのだ。

ちなみに、このグレードとは米国国立がん研究所(NCI)が策定した「有害事象共通用語規準」(CTCAE)のことで、有害事象の重症度が下記の5段階で評価されている。世界共通の規準である。

「有害事象共通用語規準」(CTCAE)
グレード1:「症状がない。または軽度の症状がある/治療を要さない」
グレード2:「最小限、局所的または非侵襲的な治療を要する」
グレード3:「重症または医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かすことはない」
グレード4:「生命を脅かす転帰/緊急措置を要する」
グレード5:「有害事象による死亡」

頻度は高くなくても、驚くほどさまざまな副作用が発現

■写真「免疫チェックポイント阻害薬副作用対応院内マニュアル」

しかしながら、実際には免疫チェックポイント阻害薬では多種多様な副作用(有害事象)が起きることが知られている。2014年、免疫チェックポイント阻害薬の「副作用マネジメントチーム(ICMT)」をいち早く立ち上げ、「免疫チェックポイント阻害薬副作用対応院内マニュアル」(写真)を作成した日本医科大学がん診療センター長の久保田馨さんは言う。

「全体として重篤(じゅうとく)な副作用が発現する頻度はそれほど高くないのですが、とにかく驚くほどさまざまな副作用が発現します。唾液腺に障害が起きて唾液が出なくなったり、ぶどう膜炎という眼病になるとか。副腎障害では化学療法とは桁違いのだるさが起きて、全く動けなくなる人もいます」

なぜ、そんなにさまざまな副作用が出るのだろうか。

「この薬は免疫の働きを高める作用があるので、リンパ球が存在する全身の臓器で免疫関連の副作用が起きる可能性があるということでしょう」

同マニュアルに記載された「とくに注意を要する副作用」を表1にまとめたが、これだけで17項目あり、診療科も呼吸科をはじめとして、消化器、泌尿器科、神経内科、眼科、耳鼻科、皮膚科などまで及ぶ。問題は免疫チェックポイント阻害薬の副作用としてこれらの症状が発現していることを、患者が気づきにくいこと、そして、各科の医師にもまだ知られていないことだと久保田さんは言う。

■表1 とくに注意を要する副作用

新薬開発と適応拡大続く、免疫チェックポイント阻害薬

その背景には、免疫チェックポイント阻害薬ががん治療の新星として注目され、新しい薬剤が次々承認されているだけでなく、すでに保険適用された薬剤についても別ながん種への適応拡大が急激に進んでいる現状がある。ここで現状を簡単にまとめておこう(図2)。

現在、日本で保険適用されている免疫チェックポイント阻害薬は大きく分けて3種類、①PD-1阻害薬、②PD-L1阻害薬、③CTLA-1阻害薬だ。

それぞれのカテゴリーで、すでに日本で承認されている薬剤は以下の通り(カッコ内は国内最初の承認)。

①PD-1阻害薬
・オプジーボ:2014年7月にメラノーマ(悪性黒色腫)で承認
キイトルーダ:2016年9月にメラノーマで承認

②PD-L1阻害薬
バベンチオ:2017年9月、メルケル細胞がんで承認
テセントリク:2018年1月に非小細胞肺がんで承認
イミフィンジ:2018年7月に非小細胞肺がんで承認

③CTLA-4阻害薬
ヤーボイ:2015年7月、メラノーマで承認

オプジーボは最も早くから有望視されていた免疫チェックポイント阻害薬だが、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫と次々適応拡大を続けているだけでなく、ヤーボイとの併用も承認されている。そのほか、米国では非小細胞肺がんに対してキイトルーダ+アリムタ+プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)の併用療法が行われ、驚くほどの効果があったとの報告が2018年4月、医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」(NEJM)に報告されたのだという。このように併用療法の臨床試験も世界的に相次いでおり、今後いっそうの承認、適応拡大が見込まれている。

オプジーボ=一般名ニボルマブ タキソテール=一般名ドセタキセル キイトルーダ=一般名ペムブロリズマブ
バベンチオ=一般名アベルマブ テセントリク=一般名アテゾリズマブ イミフィンジ=一般名デュルバルマブ
ヤーボイ=一般名イピリムマブ アリムタ=一般名ペメトレキセド

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