新薬や投薬スケジュールの変更などの新たな動き
監修●丸山 大 国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科病棟医長
悪性リンパ腫は種類が多く、治療選択もそれぞれで異なる。近年は新薬の開発が進むとともに、薬剤の組み合わせ、さらに投薬スケジュールの工夫など様々な取り組みが行われている。今回はB細胞性リンパ腫の中のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)の最新治療についてリポートする。
治療の選択肢が広がり、生存期間の延長も
監修●今井陽一 東京女子医科大学医学部血液内科学講師
多発性骨髄腫(MM)は高齢者に多く、40歳未満では稀な病気。国内では年間に10万人あたり2、3人が罹患するといわれている。サレド、ベルケイド、レブラミドなどの治療薬で治療法は大きく進み、さらなる新薬が相次いで登場。治療の選択肢が広がり、病気と共存する時代になりつつある。
身体機能の改善の他、QOL、倦怠感の改善も
監修●石川愛子 慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室助教
造血幹細胞移植とは、患者のがん細胞を根絶するため、大量の抗がん薬と放射線治療を組み合わせた非常に強力な治療法となるが、その一方で問題となるのが移植後の身体機能の低下だ。「移植は成功したが、寝たきりになってしまった」では、何のための治療かわからない。そこで今、重要性が指摘されているのが、造血幹細胞移植患者に対するリハビリテーションだ。
グリベック投薬中止試験の結果報告
監修●高橋直人 秋田大学医学部血液・腎臓・膠原病内科学講座教授
慢性骨髄性白血病(CML)は、かつては数年で急性に転化してしまい、予後が良くないという厳しい病気だった。しかし、21世紀になって分子標的薬グリベックが救世主のごとく現れ、生存率をぐんと上げた。一方で、グリベックには服用し続けなければいけないという難点もある。そこに切り込んだのが投薬中止療法だ。日本で行われた臨床試験の画期的な結果が報告された。
治療薬、がん種、既往の有無で対策も変わる
監修●岡元るみ子 千葉西総合病院腫瘍内科部長
協力●白幡拓也 千葉西総合病院薬剤部
血液がんの治療薬には、血栓症リスクを高める治療薬があり、また、高齢者に多い脳血管障害対策の抗凝固薬のワルファリンとの相互増強作用に配慮が必要なものもある。治療に際し、どのような対策が必要なのだろうか。そもそも、がんと診断され、治療を行うこと自体で血栓症のリスクが高くなるという、その基本事項から解説する。
編集●「がんサポート」編集部
昨年(2015年)12月、米オーランドで開かれた米国血液がん学会(ASH2015)からトピックスを取り上げた。いずれも学会期間中にプレスカンファレンスで取り上げられた研究報告をダイジェスト化したものである。
編集●「がんサポート」編集部
がん患者の約7割でみられる「再発・転移」。この再発・転移が最終的な予後を決定すると言われる。「再発・転移」の基礎知識について、各種の資料をもとにまとめた。
日常活動動作や生活の質を維持するために
監修●公平 誠 国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科医員
乳がんは骨に転移しやすい。痛みや骨折、脊髄の麻痺などを起こすことがあり、そうなると日常生活に悪影響を及ぼすことになってしまう。また、加齢によって骨が脆くなった上に骨転移が重なれば、より症状が悪化することにもなりかねず、十分な骨転移対策が必須となっている。
肝切除においては肝臓の機能、容積の確保が重要
監修●吉留博之 さいたま赤十字病院外科部長
大腸がんは肝臓に転移しやすい。ただ転移したとしても、決して諦める必要はない時代になってきた。手術で切除できれば、長期生存が可能になってきており、例え手術ができないと判断されても、手術のアプローチ法を変えたり、近年登場した新規薬剤を組み合わせることで、手術に持ち込めるケースも増えてきている。
分子標的薬や放射線療法の進化で治療が大きく進歩
監修●岡本浩明 横浜市立市民病院呼吸器内科部長兼腫瘍内科部長(がんセンター長)
肺がんは脳転移しやすい。すべての脳転移のうち、半分以上を肺がんが占める。以前は予後がとても厳しかったが、近年は分子標的薬の登場や放射線療法の進化で治療できるようになった。肺がんの脳転移にどう対処するのか、最新の学会報告を交えてレポートする。