岩手県民と一体となって取組みを推進

岩手の緩和ケア体制を充実させる

文●岩手ホスピスの会 代表 川守田 裕司
発行:2013年10月
更新:2014年1月

  
岩手ホスピスの会 代表 川守田 裕司

岩手ホスピスの会事務局
〒020-0883 岩手県盛岡市志家町13-31
川守田裕司方「岩手ホスピスの会」
TEL:090-2604-7918  FAX:019-653-6447
HP:http://hospice.sakura.ne.jp/
MAIL:hospice@eins.rnac.ne.jp

岩手にホスピスの設置

岩手ホスピスの会は、2013年で設立から11年目を迎えました。現在の会員数は711名(2013年6月21日現在)です。

設立したきっかけは、私の家族ががんの痛みに苦しんで亡くなったことからでした。当時岩手にホスピス(緩和ケア病棟)はなく、緩和ケアを受けられず亡くなりました。

「がんの痛みを和らげるホスピスが欲しい」という思いに賛同してくれたがん患者会などの方たちと会を結成し、署名活動やホスピスの啓蒙活動を行ってきました。

家族を看取ってもっとも強く感じたことは、「一生懸命生きてきた人間が人生の最後でなぜこんなに苦しまなければならないのか」ということでした。

2003年に岩手にホスピスを願う署名16356人分を県知事に提出し、翌年には岩手県議会に提出した「緩和ケアなどの医療の充実と施設整備の促進を求める請願」が全会一致で可決されました。

幸いにも、現在 県内に計5カ所のホスピスが設置されており、更に一般病棟でも緩和ケアが浸透して、ひとりでも多くの患者さんが痛みから解放されることが私たちの願いです。

タオル帽子作り

33名の津波犠牲者を出した岩手県大槌町役場前で(2011年6月18日)

ホスピスが設置されたことをきっかけに、会の名称を「岩手ホスピスの会」と改め、がん患者さんとご家族の支援活動にも力を入れ始めました。

活動のひとつとして始まった、抗がん薬の副作用で脱毛に悩む患者さんを支援する「タオル帽子作り」の取り組みは大きな反響を呼び、帽子を作るボランティアさんも増え続けました。

現在も全国のがん診療連携拠点病院の患者さんに年2回、帽子を送っています。2012年のクリスマスには過去最高の、総数5千個の帽子を送りました。活動を通して一番感じたのは、全国には多くのがん患者さんが埋もれていて、皆孤独に病と闘っているということ。

それでも、「タオル帽子を通して、私たち患者や家族は何か少しでも助け合うことができるのでは」と思いました。帽子を受け取った患者さんからは、多くのメッセージが届いています。ひとつご紹介。

「先月乳がん手術をした者です。術後の検査の結果『抗がん薬治療』が必要といわれ、初めてのことにドキドキしながら髪の毛が抜けることに一抹の不安を覚えていたとき、手術したセンターで『こんなかわいい手作りの帽子があるよ』と教えてくださいました。5歳の娘が『ママに似合うよ』と帽子を選んでくれて、娘にもひとつ『ママと一緒にかぶってね』といただいて大喜びの娘。手作りのぬくもりと人々の温かさを感じられ、私にとって素敵なクリスマスプレゼントをいただいた思いでうれしかったです。これから抗がん薬治療、放射線治療、ホルモン治療と続いていきますが、しっかり受け止めて立ち向かう力をいただきました。皆様に豊かな豊かな祝福がありますようお祈りしています(滋賀県大津市)」

被災地の患者会として

「シャポーいわてプロジェクト」陸前高田市上壺仮設住宅内にて(2012年8月4日)

2011年3月11日の大震災で、被災された患者さんやご家族は、家族の安否はもとより、ライフラインの遮断や食料をはじめとする物資の不足など、いまだかつてない状況におかれました。私たちは、被災地のボランティア団体としてできることの支援をはじめ、現地に同年は17回入り支援活動を続けました。

2012年からは、被災地の方々とのタオル帽子作り「シャポーいわてプロジェクト」を始めました。震災直後、炊き出しや支援物資の提供で沿岸を駆け巡る中、現地の方々といつの日か一緒に帽子作りがしたいと考えていました。

帽子作りには様々な思いが込められています。全国からの支援への感謝とお礼。誰かの役に立つことで見えてくる生きがいづくり、心の復興につながることを願っています。作られた帽子は全国の病院へ「被災地からの贈り物」として寄付されています。

患者・家族の声を届ける

県緩和ケア担当課との懇談会

2013年10月までに素案が作成される岩手県がん対策推進条例の条文内容に関して、私たちがん患者とその家族の願いを少しでも条例に反映させていただくよう、会として以下の通り要望しました。

岩手の緩和ケア医療推進の条文化をお願い致します。

①緩和ケア医療推進のため、がん診療連携拠点病院等とそれ以外の医療機関との間の連携協力体制の強化に関する支援

②緩和ケアに関する専門的知識および技能を有する医療・福祉従事者の育成および確保ならびに当該医療従事者に対する研修の機会の確保に関する支援

③地域別の均衡に配慮した緩和ケアに係る病床の確保に関する支援

④その他、緩和ケアの充実のために必要な施策

皆で力を合わせてがん患者さんをサポートしていきたいと願っております。皆様も当会にご参加ください。とくに活動に参加されなくても、ホスピス、緩和ケア、タオル帽子、その他の最新情報を盛り込んだ会報を年4回お届けします。

また、ボランティアさんが帽子を作るためのフェイスタオルが不足しております。できましたらご寄付をお願い致します。なお、恐縮ですが患者さんのためにできるだけカラフルな柄物でお願い致します。当会事務局まで、ご連絡をいただければと思います。

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