アロマセラピスト・長谷川記子の心を癒すアロマ教室 4
サンダルウッド
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アベ腫瘍内科クリニック
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サンダルウッドは、東洋的な深く甘い香りです。和名は白檀(ビャクダン)です。中国・インドでは、古代から白檀油は、万病を癒す香油として、殺菌、鎮痛、鎮静、去痰、利尿など、心身の浄化と、瞑想や宗教儀式などに用いられてきました。
色即是空、空即是色の般若心経の境地は、誰の心の奥にでもある魂の安らぎのひとときです。白檀の木の幹の中心部にある心材から漂う深い優しい香りは、まるで、観音様の慈悲の現れのようです。私たち人間が、煩悩で病を患い、心身共に調和を崩して魂までも不浄に思え、自責の念や、自己の存在さえ無価値に感じてしまうとき、白檀の香りは、ありのままの自己を受け入れる事の大切さを教えてくれます。「ご先祖様からいただいた大切な生命を、どうぞ大切にしてください」と……。白檀の精の香りは「浄化と安らぎ」の役目を担ってこの世に生まれてきたのでしょう。
がんを患うと、まるで幼子のように、無防備で、無力になってしまった自己に気づくときがあります。こうしたときは、介護する方や友人、家族からの「頑張ってね」「大変ね」という言葉でさえ、心に痛く突き刺さります。
白檀の香りは、こうした状態に自分の心が陥ったとき、深く甘い香りで心の奥までも癒し、浄めてくれます。落ち着き、自己の本来の姿を、心の奥深くを見つめる瞑想のときを、人生の中で創る香りです。
死に直面し、「あと何カ月、私は生きられるのだろうか?」
と、私に問いかけた乳がんで50 代のA 子さんは何度も、治療のつらさを乗り越え、明るく元気にすごされてきた方でした。
数日前の検査で肺に転移がわかり、診察後にアロマケアを受けているときに、幼い頃の母親の思い出を語り始めました。
今日は身体も幾分、むくみがあり、喉に痰がからむので、時々ティッシュで口を押えながら、自分が母親に孝行できなかったことなど、話し始めました。
「貴女が生まれてきてくれたこと自体が、それだけで、親は嬉しいものだと思うわ」
という言葉に、彼女の目には静かに涙があふれました。
ゆっくりとしたアロマトリートメントを手と足に施すと、アロマオイルに入っていたサンダルウッドの香りが「とても落ち着くわ。いい香りね」と応えられました。「省みる人生を見つめるときを、がんという病は与えてくれるのね」とA 子さんは、落ち着いた声で言いました。
サンダルウッドには、不思議な香りの力が秘められているのでしょうか? A 子さんの口調が、トリートメントの度に優しく澄んだ落ち着きのある声になってきていました。
「私はいい生き方をしてこなかったからなあ」と、ふと呟いた60 代で膵がんのB 氏も、過去の自責の念に悩まれていました。
聞いていると、大酒を飲んで、よく怒っていたようです。自分の怒りを鎮め自責の念を解き、浄化していくために、サンダルウッドの沐浴はとても効果的です。