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FP黒田尚子のがんとライフプラン 1
知っておきたい「エンディングノート」活用術<前編>
今月から「がんとライフプラン」という新タイトルでスタートします。第1回は、最近、終活をはじめるきっかけやツールとして注目されている〝エンディングノート〟について。「気になるけれど、どう書いて良いかわからない」といった人のために2回に分けて活用術をアドバイスします。
エンディングノートは、終末期に際して生じる事柄に備え、自分自身の希望を書き留めておくノートのこと。今や自治体やNPO団体主催の書き方講座が実施され、さまざまなものが発売されています。
けれども、実際にエンディングノートを書いているという人は、わずか2%!(経済産業省「ライフエンディング・ステージを取り巻く国民意識」(2012年))どうやら、興味はあるけれども、実行している人はまだ少ないといったところでしょうか。
エンディングノートが書けない、あるいは途中でやめてしまった、という人の声を聞くと、「記入項目が多すぎて、なかなか進まない」「介護や葬儀など、これまで考えたことがなく、書き方が分からない」「財産や家族のことなど大切な個人情報が漏れないか心配」などが挙げられています。
そんなお悩みを踏まえて、エンディングノート作成上のポイントを5つにまとめてみました(図表参照)
<その1>から<その3>までは書き方についてです。たしかにエンディングノートの内容は多岐にわたりますが、まずは気楽に書きたい部分から始めてみましょう。例えば、自分のプロフィールやこれまでの思い出、エピソードを綴るところから書いてみると、家族や将来に対する想いも自然と芽生えてくるかもしれません。
また、エンディングノートは、何度も修正や加筆ができます。立派な装丁の商品も販売されていますが、状況に応じて気軽に書き込んだり、身近に置いたりできるように、個人的には、無料あるいは手ごろな価格のもので十分だと思います。
そして、預貯金など資産を書き入れる部分は、取引先の金融機関等の名称や担当者、電話番号などが記入してれば、金額はだいたいで大丈夫。資産の額は変動しますし、あくまでも、エンディングノートは、緊急時の連絡帳や備忘録の代わりにもなるものだからです。
<その4>も書く上ではお勧めです。エンディングノートには、延命治療や介護のこと、葬儀やお墓のことなどの記入欄もあります。これらはなかなか日頃家族で話題にしにくい内容ばかり。「エンディングノートにこんな項目があったから……」と、自分の考えを相手に伝えたり、ご夫婦やご家族で一緒に話し合ったりするには良い機会だと思います。
そして、気を付けておきたいのは<その5>です。もちろんエンディングノートには、自分の好きなことを書いても構わないのですが、遺言などと違い、エンディングノートに法的拘束力はありません。エンディングノートは単なる「自分の希望やお願い」に過ぎないということも念頭に置いておきましょう。