低線量率治療と高線量率治療の違いは?
舌の縁が白っぽくなり、辛いものを食べると痛みがあったので受診した結果、舌がんと診断されました。腫瘍の大きさは約3㎝でステージはⅡ(II)です。放射線治療を希望したところ、「組織内照射」と言われました。ネット検索してみると、施設によって「低線量率治療」、「高線量率治療」などがあるようですが、どのような治療法なのでしょうか。
(60歳 男性 千葉県)
A 低線量率治療は隔離施設への入院が必要
亀田総合病院頭頸部外科部長の
岸本誠司さん
岸本誠司さん
ステージⅡ(II)までは手術以外では組織内照射が行われます。放射性の金属を舌に埋め込んでがん病巣だけを叩いていく方法です。手術と同じ程度の治療成績が上がっています。切除しないため舌の形が変わらないので、しゃべる仕事をしている方々には、とくに向いている治療法と言えるでしょう。
組織内照射には、低線量率治療と高線量率治療があります。低線量率治療は舌に針金状のイリジウムや金の粒を1週間ほど埋め込みます。難点は、患者さんの排せつ物などから放射線が発せられるので、専門の隔離施設に入院しなければならないことです。東京医科歯科大学はこの分野では実績があり、治療成績も上がっています。
高線量率治療は舌の患部に細いチューブを埋め込んで、その中空に放射性物質を1日2回送り込む方法で、隔離設備がなくてもできます。治療効果や全体の治療期間などは低線量率治療と同じくらいです。