炎症性乳がんの転移。今後の治療法は
母(73歳)が炎症性乳がんと診断されました。見つかったときは、すでに肺に転移していて、化学療法(*タキソール)を行ったのですが、あまり効果が見られませんでした。今後はどのような治療法になるのでしょうか。化学療法以外の治療法はありますか。ホルモン受容体は陽性、HER2は陰性です。母の年齢を考えると心配でなりません。
(45歳 女性 北海道)
A アバスチンの併用療法。放射線治療の検討も
板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん
上野貴史さん
炎症性乳がんは乳がん全体の1%ほどで、進行が早いとされています。
ご相談者はすでに転移をされているということですから、今後も化学療法が基本になります。炎症性乳がんは血管新生が盛んなため、それを阻害する作用のある、分子標的薬の*アバスチンが効果的だと言われています。タキソール+アバスチンの併用療法を試みるとよいかと思います。
再発転移の治療では、1つの治療法の効果があるうちはそれを続け、効果がなくなったら別の治療法を行うという方法で進めます。タキソール+アバスチンが効かなくなった場合、次はアンスラサイクリン系の*アドリアシンもしくは*ファルモルビシン、その次には*ハラヴェンを使うのが一般的です。また局所のコントロール(制御)には温熱療法を併用した放射線治療も有効なので、担当医と相談されるとよいと思います。
*タキソール=一般名パクリタキセル *アバスチン=一般名ベバシズマブ *アドリアシン=一般名塩酸ドキソルビシン *ファルモルビシン=一般名エピルビシン *ハラヴェン=一般名エリブリン