ノルバデックスを続けるか、次のホルモン療法にするか迷っている

回答者●上野貴史
板橋中央総合病院乳腺外科医長
発行:2019年5月
更新:2019年9月

  

2018年3月に乳がんの告知を受けました。リンパ節、骨に転移があったので手術はせず、ホルモン療法薬リュープリン(一般名リュープロレリン)、ノルバデックス(一般名タモキシフェン)、ゾメタ(一般名ゾレドロン酸水和物)を始めました。原発腫瘍の大きさは7㎜。肝臓に怪しいのが1つあると言われました。

3カ月後の6月に腫瘍、リンパ節、骨全てが縮小しているとのCT結果でした。しかし、11月に腫瘍が大きくなっているのがわかり、超音波(エコー)、CTの結果、腫瘍は30㎜になっていて、肝臓の怪しいのが2つになっていました。

セカンドオピニオン先で手術の提案をされ、主治医に相談。12月に全摘手術をしました。

そこで今後の治療についてご相談ですが、原発巣以外には効いていたノルバデックスを続けるか、次のホルモン療法のイブランス(一般名パルボシクリブ)+フェソロデックス(一般名フルベストラント)のどちらにするかです。

私と主人は、使える薬は取っておきたいのでノルバデックスで様子を見てもいいのではと思っていますが、主治医はイブランスを勧めます。

ノルバデックスが原発巣に効いていなくても、リンパ節(転移部位)には効いたのでノルバデックスが良いのではと思うのですが、また原発巣が出て来ては良くないので、新たな薬で原発巣を抑えるのが先か、今後の治療法についてお教えください。

(43歳 女性 神奈川県)

イブランス+フェソロデックスを勧めます

板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん

この方のご質問とは直接は関係ないのですが、1つコメントしておきます。

12月に全摘手術をされたということですが、もともと骨と肝臓にもがんの疑いがあるのに手術をされていますね。ご質問者の場合は手術をされていますが、遠隔転移を認める場合には原発巣の手術適応は通常ありません。手術をすることによる患者さんへのメリットが、今のところ明らかでないからなのです。

ただ骨単独の遠隔転移の場合は、原発巣を手術した場合に、生存期間が延びる可能性があるのではないかという仮説もあり、臨床試験が行われています。

しかし一般的には、シコリが大きくなって血が出たり痛みを生じたりする場合でない限りは原発巣の手術をすることは標準治療ではないということを一応コメントしておきます。

さて、ご質問はこれまで続けていたノルバデックスが原発巣以外には効いていたので、次のホルモン治療に進むことを躊躇しているとのことですが、実際には肝臓では怪しいのが増えているということ、それと骨に効いているかどうかは、画像からは判断しにくいものなのです。腫瘍マーカーが低下していたというなら別ですが、肝臓のシコリが少し増えている可能性があるということですので、本当にノルバデックスが遠隔転移にも効いていたかどうかも疑問です。

そういった意味でも、このままノルバデックスを続けていくよりもイブランス+フェソロデックスをお勧めします。もちろん偽閉経療法も併用します。代案はイブランス+アロマターゼ阻害薬+偽閉経療法ですが、保険適用とならない可能性があります(イブランス+フェソロデックス+偽閉経療法は保険適用あり)。

強い薬を先に使ったら後々使う薬がなくなってしまうのではないかと、ご心配されるよりも最初に効果が長い薬を使ったほうが、全生存率(OS)は延びる傾向にあります。

副作用が強い場合は別ですが、イブランス+フェソロデックスでは副作用は少なく、軽い口腔粘膜障害(口内炎)と軽い脱毛があるくらいです。骨髄抑制には注意が必要ですが、それによる自覚症状はほとんどありません。副作用の少なさと効果の点を勘案してみても、イブランス+フェソロデックス+偽閉経療法の使用をお勧めします。

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