肝臓の腫瘍が増加。今後の治療方針は
乳がんのホルモン受容体(ER、PgR)陽性タイプで、術前に*フェマーラを内服しました。術後7カ月で肝臓、骨、リンパ節に転移し、*タキソールと*アバスチンの化学療法を受けました。がんはいったん小さくなりましたが、最近の検査で肝臓の腫瘍が増えていることがわかりました。今後どのような抗がん薬を選べばよいのでしょうか。副作用についても教えてください。
(56歳 女性 東京都)
A アドリアシンなど 順次抗がん薬を選択
上野貴史さん
ご相談の内容に*ハーセプチンの使用が書かれていないため、HER2陰性と判断します。通常、術後に再発した場合、生命の危機がなければ、ホルモン陽性であればホルモン療法から行うのが基本です。
フェマーラの効果がなくなってきたときは、抗エストロゲン薬の*フェソロデックス筋注やmTOR阻害薬の*アフィニトールとAI剤(アロマターゼ阻害薬)の併用など、効果があるうちはホルモン療法を続けます。ご質問者が術後7カ月で転移し、初めから抗がん薬を使っているということは、かなり進行が速く、生命の危機があると判断されたからだと思われます。
したがって今後も順次抗がん薬で治療をしていくことが普通です。どのような順番で使うのがよいかについては、決まりはありませんが、質問者の場合には、副作用が多少強くても奏効率が高い薬剤使用が勧められます。
タキソールが効かなくなった場合、次はアンスラサイクリン系の*アドリアシンもしくは*ファルモルビシンを使うのが一般的です。副作用としては、骨髄抑制、吐き気・嘔吐、脱毛などがあります。その次には*ハラヴェンの使用が一般的です。
*フェマーラ=一般名レトロゾール *タキソール=一般名パクリタキセル *アバスチン=一般名ベバシズマブ
*ハーセプチン=一般名トラスツズマブ *フェソロデックス=一般名フルベストラント *アフィニトール=一般名エベロリムス *アドリアシン=一般名ドキソルビシン *ファルモルビシン=一般名エピルビシン *ハラヴェン=一般名エリブリン