肝臓の腫瘍が増加。今後の治療方針は

回答者・上野貴史
板橋中央総合病院外科医師
発行:2015年12月
更新:2016年3月

  

乳がんのホルモン受容体(ER、PgR)陽性タイプで、術前にフェマーラを内服しました。術後7カ月で肝臓、骨、リンパ節に転移し、タキソールとアバスチンの化学療法を受けました。がんはいったん小さくなりましたが、最近の検査で肝臓の腫瘍が増えていることがわかりました。今後どのような抗がん薬を選べばよいのでしょうか。副作用についても教えてください。

(56歳 女性 東京都)

アドリアシンなど 順次抗がん薬を選択

板橋中央総合病院外科医師の
上野貴史さん

ご相談の内容にハーセプチンの使用が書かれていないため、HER2陰性と判断します。通常、術後に再発した場合、生命の危機がなければ、ホルモン陽性であればホルモン療法から行うのが基本です。

フェマーラの効果がなくなってきたときは、抗エストロゲン薬のフェソロデックス筋注やmTOR阻害薬のアフィニトールとAI剤(アロマターゼ阻害薬)の併用など、効果があるうちはホルモン療法を続けます。ご質問者が術後7カ月で転移し、初めから抗がん薬を使っているということは、かなり進行が速く、生命の危機があると判断されたからだと思われます。

したがって今後も順次抗がん薬で治療をしていくことが普通です。どのような順番で使うのがよいかについては、決まりはありませんが、質問者の場合には、副作用が多少強くても奏効率が高い薬剤使用が勧められます。

タキソールが効かなくなった場合、次はアンスラサイクリン系のアドリアシンもしくはファルモルビシンを使うのが一般的です。副作用としては、骨髄抑制、吐き気・嘔吐、脱毛などがあります。その次にはハラヴェンの使用が一般的です。

フェマーラ=一般名レトロゾール タキソール=一般名パクリタキセル アバスチン=一般名ベバシズマブ
ハーセプチン=一般名トラスツズマブ フェソロデックス=一般名フルベストラント アフィニトール=一般名エベロリムス アドリアシン=一般名ドキソルビシン ファルモルビシン=一般名エピルビシン ハラヴェン=一般名エリブリン

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