慢性骨髄性白血病の母。スプリセルで寛解にならないと抗がん薬治療は出来ないのか
2018年4月、69歳の母が慢性骨髄性白血病(CML)になり、慢性期を維持するために薬を服用していたのですが、薬が効きすぎて休薬し、ほとんど薬を服用していない状態でした。
*スプリセル(一般名ダサチニブ)に変更しても、白血球や血小板の数値が下がり過ぎて休薬。
そうこうしているうちに急性転化してしまい、入院してスプリセルを3週間ほど服用して、その後、抗がん薬治療をして慢性期に戻す治療をすると説明されました。
ですが、スプリセルで寛解してからでないと抗がん薬治療はできないと言われて、寛解にならないために、1カ月以上経っても抗がん薬治療が始められていません。
先生の言われる通り、スプリセルで寛解にならないと抗がん薬治療はできないのでしょうか。寛解にならないとしたら、他にどんな治療法があるのでしょうか。
(43歳 女性 神奈川県)
A 本当に急性転化したのか、移行期なのかによって治療方法は異なる
鈴木憲史さん
昔は慢性骨髄性白血病のほとんどの患者さんは5年ぐらいしか生存できませんでした。3年ぐらい経つと移行期といって、貧血や血小板の減少が起こり、最後は急性白血病になって死亡するのです。
この患者さんの場合、急性転化したということですが、処方された薬を飲んだり飲まなかったりしたために、このような状態になったのだと思います。
一旦このような状態になると、慢性期に戻すことはなかなか難しいものです。
この患者さんは主治医からスプリセルで寛解しないと、抗がん薬治療は出来ないと言われているようですが、そんなことはありません。スプリセルを併用しながら抗がん薬治療を行うことはあります。
ですから、急性転化していて芽球(がきゅう)が増えてきているようだったら、*キロサイド(一般名シタラビン)や*ダウノマイシン(一般名ダウノルビシン)、*イダマイシン(一般名イダルビシン)といった抗がん薬で普通の急性白血病に準じた治療が必要だと思われます。
ただ、ご質問者の相談では急性転化と一言で片づけていますが、これが移行期なのか、それとも本当に急性転化して急性骨髄性白血病になっているのか、によっても治療方法は違います。
移行期ならば、場合によってはスプリセルでもう一度、慢性期に戻ることも考えられます。
本当に急性転化しているのであればスプリセルだけでは良くはならないので、主治医の方とよく相談して検討されたら如何でしょうか。