毎年、乳がん検診受けていたのに
私は毎年乳がん検診を受けていたので、乳がんについては安心しきっていました。ところが、入浴中に右乳房にしこりがあることに気づきました。近所のクリニックでマンモグラフィとエコー検査をしてもらったところ、「乳がんの疑いがある」と言われ、大学病院を紹介されました。大学病院で検査したところ、腫瘍の大きさは6㎝で全摘となりました。毎年乳がん検診を受けていたのに、納得がいきません。乳がん検診で乳がんが発見できないのなら、検診の意味はないと思いますが、どうしてなのでしょうか。乳がん検診はマンモグラフィ検査でした。
(45歳 女性 東京都)
A 高濃度乳房であればエコー検査も
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
がん検診には限界があり、がんの見落としや、逆に良性のものをがんと過剰診断することが必ずあるということをまず認識しておくことが必要です。
乳がん検診の場合、マンモグラフィ検査だけですと、乳房の脂肪が少なく乳腺組織が豊富な方では、高濃度乳腺(デンスブレスト)として撮像され、しこりが背景にかくれて見つけにくくなることから、がんを見逃す可能性が高くなります。
このことは周知のことで、米国ではマンモグラフィ検査を行った場合、高濃度乳腺と判定されたケース(全体の30%程度)ではその旨を、検査を受けた方へ通知しなければならないという法律(乳腺濃度告知法)が大多数の州で成立しています。
高濃度乳腺の方には、追加の補助検査として一般に超音波検査が推奨されます。マンモグラフィ検査で「異常なし」と記載されていても、「高濃度乳腺」と判定されていれば、超音波検査を併せて行うことで見逃すリスクを減らすことができます。