炎症性乳がんの抗がん剤治療は?
右胸に炎症性乳がんがあると診断されました。アドリアシン(一般名アドリアマイシン)とエンドキサン(一般名シクロホスファミド)のAC療法を受け、その後さらに、タキソール(一般名パクリタキセル)による治療を受ける予定ですが、炎症性乳がんには、アバスチン(一般名ベバシズマブ)やゼローダ(一般名カペシタビン)、ナベルビン(一般名ビノレルビン)などのほうがより効果があると聞いたことがあります。どの治療が最も効果があるのでしょうか。
(京都府 女性 54歳)
A アドリアシン+タキサン系の抗がん剤治療が標準
炎症性乳がんに対しては、アドリアシンとタキサン系の抗がん剤治療の両者を行うのが標準です。タキサン系の抗がん剤には、タキソールとタキソテール(一般名ドセタキセル)があります。エンドキサンは補助的に使われます。したがって、AC療法を行い、その後、タキソールによる抗がん剤を行う治療は標準的といえます。
そのうえで、もしHER2が陽性であれば、分子標的薬のハーセプチン(一般名トラスツズマブ)による治療を加えます。
炎症性乳がんは血管新生がよく起こるため、血管新生阻害剤であるアバスチンの効果が期待されています。臨床試験の結果では、今のところ期待したほどの治療成績は得られていませんが、抗がん剤と併用して用いることが考慮されます(日本ではまだ保険適用ではありません)。
ゼローダとナベルビンが、とくに炎症性乳がんに効果が高いとはいわれていません。
炎症性乳がんでは、まず抗がん剤治療を行い、その後、手術と放射線治療を行うのが一般的です。