AC療法の後、ハーセプチンの予定。効果は?
2009年1月に、左胸の右上部の手術をしました。がんの大きさは2センチ、浸潤性、ステージ(病期)1、悪性度2でした。再手術を提案されましたが、私の希望で、放射線治療を受けました。そのあと、抗がん剤のアドリアシン(一般名ドキソルビシン)とエンドキサン(一般名シクロホスファミド)によるAC療法をすすめられましたが、脱毛がいやで断りました。そこで、私はHER2陽性でしたのでハーセプチン(一般名トラスツズマブ)の治療を3週間ごとに7回行いました。その後、AC療法に切り替わりましたが、このAC療法の副作用がひどく、心毒性もあるような気がしています。このあと、ハーセプチン治療をするといわれています。ハーセプチン治療をしてもいいのかどうか、治療の効果と副作用、気をつけなければいけないこと、主治医に確認すべきことを教えてください。
(宮城県 女性 66歳)
A 抗がん剤とハーセプチン治療で、再発リスクを半分に減らせる
HER2陽性の乳がんの場合、手術後に抗がん剤治療と併用しながら、または抗がん剤投与終了後から、ハーセプチン治療を1年間行うのが標準治療です。ハーセプチン治療を3週間に1回ずつ行うとすれば、1年では合計17回ほどになります。こうした治療で、再発リスクを半分に減らせます。
ご相談者の場合、抗がん剤治療とハーセプチン治療の順番が逆になっており、既に標準的治療ではありません。このあと、ハーセプチン治療を前回分と合わせ、合計17回投与するとすれば、すでに7回受けているとのことですから、数字上ではあと10回行うことが考えられます。ただし、このような投与法には、根拠となるデータはありません。
ハーセプチンの主な副作用は、初回投与時のインフュージョンリアクション(アレルギー)と心毒性です。心毒性を気にされているとのことですから、ハーセプチン治療の前に心エコー(心臓超音波)で現在の心臓の機能をチェックすることが大切です。心機能に問題がなければ、治療を開始してよいと思います。
乳がんの診療ガイドラインでは、ハーセプチン治療中は3カ月に1回、心機能のチェックを行って心機能が低下してきたら治療をやめることになっています。心臓の機能評価は、数字ではっきりと出てきます。持続的に観察をしながら治療を行えば、問題はありません。
もし心機能が低下してきたら、症状が出る前に早めに治療をやめることができます。心不全となっても、通常の内科的治療で回復することが多いといわれています。
治療中の注意点としては、動悸、息切れがしたら主治医に必ず連絡し、心機能をチェックしてもらってください。心エコー検査は予約が必要な施設もありますが、検査自体は簡単です。
副作用の頻度は、いずれも数パーセントで頻度は少ないです。あまり恐がることはありません。