再建術の時期は?再建すると再発は見つけにくい?
半年ほど前に、浸潤性乳がんで左乳房の全摘手術を受けました。やはり、乳房がなくなったのは大変つらいです。お風呂に入るときや、着替えをする度に、気になります。手術を終えたあと、担当医から「乳房再建という方法もあります。とてもきれいにできますよ」といわれて、心強く思いました。いつか必ず再建しようと思っています。質問は再建する時期は、手術後、どれぐらいあとで受けたらよいのかということです。もう1つは、再建した場合、再発が見つけにくいとかの問題は起こらないでしょうか。この2点について、アドバイスしてください。
(山梨県 女性 45歳)
A 再建はいつでもOK。再発診断が遅くなることはない
最初のご質問の乳房再建術の時期についてですが、いつでもよいと思います。いつまで待たなければならないということはありません。
米国の乳がん診療ガイドラインには「乳房を再建するなら全摘手術と同時に行うほうがよい」と書いてあります。米国では、通常、全摘手術をしたあとすぐに乳房再建に取り組みます。外科医が全摘手術をしたあと再建手術の専門外科医にバトンタッチして、再建を行うことが普通です。日本では同時再建はあまり行われていません。
ただし、乳房の切除範囲や、乳房再建術の方法によって、実施する時期は多少違ってきます。乳房再建術は、シリコンインプラントなどを用いる方法と患者さん自身の組織(自家組織)を用いる方法の2通りがあります。
インプラント法の再建で、皮膚を進展させる必要がある場合には、手術をして半年後ぐらいに行うことが多いです。一方、自家組織を使う方法で皮膚を進展させる必要がない場合には、いつでもできます。米国ではこの自家組織による方法が主流のようです。皮膚をなるべく切除しない方法での全摘術後に、この再建術を同時に行うことが多いのです。
主治医は「とてもきれいにできます」と言っているようですが、あまり過度な期待はしないようにしてください。再建術は妥協の産物だからです。
再建術は、ある程度確立されてはいますが、再建後に、左右の乳房のバランスを整えるなど、何回も修正が必要なこともあります。満足を得るためには、患者さんと医療スタッフ双方の熱意が求められます。よく話し合いをしながら取り組んでいく必要があります。1回だけできれいになるということはあまりありません。
2つ目の再発の発見についてですが、再建したことによって、再発が見つけにくくなることはありません。
海外では、再建による局所再発診断の遅れはなく、再建が再発患者の予後や生存率に影響しないというデータが数多く発表されています。ですから、この点については、あまり気になさらないようにしてください。