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手術後、ホルモン療法中。乳製品を摂取してもよいか?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2007年7月
更新:2013年11月

  

2004年12月、左乳房全摘手術を受けました。リンパ節転移はなく、グレード1、ホルモンレセプターは陽性、HER2は2+、ステージ1A期の乳がんで、現在ホルモン療法を受けています。本などによると、乳がんの人は乳製品をあまり摂取しないほうがよいと書いてあります。ですから、私もそのようにしてきました。ところが、先日、新聞にヨーグルトを1日2回食べるとピロリ菌が減少すると書いてありました。私もピロリ菌があり、これまで3回除菌治療をしましたが、うまくいきませんでした。担当医から「ピロリ菌はそのままでもよい」と言われましたが、ヨーグルトで効果があればと思って食べ始めました。がんとの関係もあり、少々、不安な気持ちで食べています。乳がんと乳製品について、正しい知識を教えてください。

(福島県 女性 47歳)

A 乳製品との関係ははっきりしない

食事と乳がんのリスクの関係についてははっきりとわかっていません。乳製品を多く摂取している国では乳がんの発生率が高いため、乳製品と乳がんの発生率には因果関係があるのではないかと言われています。

しかし、乳製品をたくさん食べる国は、カロリーの摂取量の多い先進国です。それに肥満が多く、子供の数が少ないのが特徴です。出産未経験や、高齢出産など、乳がんのリスクファクター(危険因子)もたくさん持っています。ですから、乳製品の摂取量が多いからといって乳がんの発生率が高いとは限らないのです。つまり、乳製品と乳がんの発症率については、はっきりと証明されていないのです。ですから、乳製品の摂取と乳がんの発症とは関係があるのかも知れないというように考えてください。

ご相談者の場合、すでに乳がんを発症されています。そのうえで、乳製品を食べてもよいかどうかとのことですが、乳製品と乳がんの再発との関係については、発症との因果関係よりもわかっていませんが、数少ないデータをご紹介します。

1つは、1999年『キャンサー』誌に「食事の因子と乳がんの予後」という論文が発表されています。それによると「脂肪分の少ない食事を摂っても、乳がんの再発にはあまり関係がない」というのが結論です。肉以外のタンパク質を摂取した人のほうが成績はよかったとも報告されています。もしかしたら、食事は乳がんの再発に関係があるのかも知れませんが、現状ではあまりにデータが少なく、エビデンスレベルは低いです。

現在、欧米では低脂肪食摂取と乳がん再発の因果関係を調べるNASという臨床試験が行われていますが結論はまだ出ていません。

個人的には、再発のことはあまり気にせず、ヨーグルトは食べてもよいと思います。

また、乳製品だけにこだわるのはあまり意味がありません。乳がんの発症には乳製品よりもアルコール摂取との関係がはっきりしています。乳がんの再発とアルコールとの関係はわかっていませんが、少なくとも乳製品だけに気をつけていればよいというわけにはいかないのです。もし乳製品を控えるのならば、アルコールも控えたほうがよいということになります。

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