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術後3年。10年経てば治ったと考えてよいか?

回答者:上野 貴史
板橋中央総合病院 外科医師
発行:2007年7月
更新:2013年11月

  

左の乳房に腫瘍が見つかりました。大きさは1.9センチです。2004年の夏に乳房温存手術を受けました。ホルモンレセプターはエストロゲンもプロゲステロンともにプラスでした。術後補助療法として、25回の放射線治療を受け、ノルバデックスを併用しました。さらに、リュープリンによる治療も1年間受けました。術後2年目に骨シンチや、CT画像などの検査では、幸い「異常なし」でした。現在、2カ月に1度、触診などの定期検診を受けています。知人から「ほかのがんは5年で安心できるけれど、乳がんは10年経たないと安心できないよ」といわれました。本当に術後10年が経てば治ったといえるのでしょうか。また、今後、どのようなことに注意をしていったらよいでしょうか。

(青森県 女性 38歳)

A 一般的には15年を目安に

通常、ノルバデックスは5年間服用します。リュープリン(一般名酢酸リュープロレリン)は最低2年間投与が標準で、1年間投与というのはあまりありません。

ご相談者のように、2つの薬剤を併用することはよく行われますが、補助療法の場合、2剤併用が単剤よりも有効だという決定的なデータはまだありません。

また、乳がん治療のガイドラインによると、症状がない場合には骨シンチグラフィや、CT検査、マーカー測定などによる定期検診は基本的に行う必要はないとされています。骨や肝臓、肺などへの遠隔転移は、早期に発見しても、救命につながる治療法がないからです。手術した乳房内の再発や、リンパ節再発の一部、反対側の乳房にできる乳がんの早期発見を目的にした定期検診に意義があるとされます。

後者を目的にした定期検診は問診と触診が中心です。術後2年間は3~6カ月に1回、術後3~5年間は6カ月~12カ月に1回、5年以後は12カ月に1回のペースでの定期検診が推奨されています。

ご相談者のようにホルモンレセプターが陽性でリンパ節転移陰性で、補助治療なしという場合には、乳がん死亡確率は5年で7パーセント、10年で20パーセント、15年で31パーセントというデータがあります。一般的には15年経てば治ったといえるのかも知れません。

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