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手術を受けて5年。再発防止のためにすべき治療は?

回答者:川端 英孝
虎の門病院 乳腺内分泌外科部長
発行:2007年6月
更新:2013年11月

  

5年前、左乳房の外上部に1センチ大の乳がんと診断され、温存手術を受けました。病理検査の結果、リンパ節転移がないので、放射線治療は必要ないとのこと。ホルモン療法を受けることになりました。手術後、最初の2年間はリュープリン(一般名リュープロレリン)の注射を、3年目からはノルバデックスを内服してきました。今年の夏で、手術を受けてから5年が経ちます。主治医からは「5年経過したら、ノルバデックスを中止する」と言われています。再発の不安はいつもあります。手術を受けて5年以上経てば、ノルバデックスを内服する意味はないのでしょうか。また、5年経過した後、再発を防止するために内服する薬や受ける治療はないのでしょうか。

(埼玉県 女性 48歳)

A 経過観察で問題はない

手術時に43歳という年齢を考えると、放射線治療を追加することが標準的ですが、それはここでの本題ではなく、また今の段階で照射する必要はないので、この問題は省略します。

詳細に関して不明な点もありますが、文面から判断すると、ホルモン療法を5年で終了し、経過観察でよいと思います。

また、ご相談者は医学的な疑問を持っているというより、治療がこのままなくなってしまうこと自体が不安なのだろうと推察します。そうしたお気持ちはよく理解できますし、そのような訴えを耳にする場面もしばしばあります。

ただ、ホルモン療法にも副作用、たとえば骨粗鬆症を進行させたり、子宮体がんを増加させたりするなどのデメリットもあるため、むやみに治療を継続することが安全なわけではありません。

一般的には、ホルモン療法は5年間で終了することが標準的ですが、ノルバデックスの終了後にさらにフェマーラ(一般名レトロゾール)などのアロマターゼ阻害剤を追加すると、再発率が低下するというデータもあります。このため実際の方針を決める際は、腫瘍の病理学的な異型度やHER2遺伝子の増幅の有無などの細かい条件を考慮します。ホルモン療法を継続することで得られるメリットとデメリットを総合的に判断する必要があります。

今後、ホルモン療法を続けるにしても治療を打ち切るにしても、もう1度、主治医と話し合って気持ちの整理をしておきましょう。

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