再発を早期発見するためには?
昨年12月、左乳房に1センチ大のがんが見つかり、乳房温存手術を受けました。術後、放射線治療とホルモン療法を受けました。その後、2カ月ごとに外来で触診を受けています。再発が心配なのですが、外来では血液検査やCT検査などはしていません。こうした検査で、再発を早期に発見することはできるのでしょうか。再発の早期発見のためにはどんな検査を受けたらよいのでしょうか。
(愛媛県 女性 43歳)
A 定期検診が基本。ただ、早期発見による生存率の改善はみられない
再発について不安なお気持ちは、よくわかります。日本乳癌学会が『乳癌診療ガイドライン』を編集し、刊行しています。この診療ガイドラインにもとづいて、術後の定期検診についてご紹介したいと思います。
術後の定期検診は、再発をきたす可能性の高い術後3年以内については3~6カ月ごと、その後2年間は6~12カ月ごとに、その後は1年間に1回のペースで、問診と視診、触診を行って、何らかの訴えがあれば、それに応じた検査を行えばよいということになっています。
また、術後1年ごとの定期的なマンモグラフィによる検査も有用としています。ただし、このマンモグラフィは乳がんの起きた反対側の発見について意義があるとされています。
このほかの検査については「行うように勧めるだけの根拠がない」とされています。つまり、血液検査、胸腹部のCT検査、腫瘍マーカー検査などは、診療ガイドラインでは勧められていません。術後の定期検査で、再発を早期に発見しても、生存率が改善したというデータが出ていないのです。現状では、残念ながら再発を早期に発見できたとしても根治が難しいのです。
このような現状を知ったうえで、それでも検査を受けたいという方には、PET(陽電子放出断層撮影法)検査が有用だと思います。がんの大きさが数ミリ以上であれば、1度の検査で全身をチェックできます。非常に感度のよい検査です。
ただし、PET検査で再発を早期に発見できても生存率が改善されるわけではありません。検査をすれば再発の不安が消えるわけでもありません。このことをしっかりと理解していただきたいと思います。