閉経前なので術後化学療法を勧められているが
昨年(2023年)3月に乳がんと診断され5月に右乳房全摘と腋窩リンパ節切除を受けました。しこりの大きさは2㎝、リンパ節に2個の転移がありました。病理検査の結果、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、組織グレード1、Ki67は20%。オンコタイプDXの再発リスクは8で、再発リスクは低いため術後化学療法はせず、ホルモン療法(リュープリン注射+タモキシフェン)を開始しました。
しかし最近、主治医からまだ閉経前なので「抗がん薬治療もやりましょう」と提案されました。抗がん薬治療は行ったほうがいいのでしょうか。また抗がん薬治療の副作用はどうなのでしょうか。
(47歳 女性 神奈川県)
A 確かに再発リスクは低くなる
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
ホルモン感受性のあるルミナルタイプでは、ホルモン療法だけでも再発リスクは下がりますが、リンパ節転移があった場合は主治医が言われるように、閉経前の患者さんの場合は、たとえオンコタイプDXでの再発リスクスコアが低くても(25以下)、ホルモン薬だけよりは抗がん薬も加えたほうが再発のリスクは低くなるという「RxPONDER」という臨床試験の結果が出ています。なお閉経後の場合では、抗がん薬を加える意義は認められませんでした。
少しでも再発リスクを減らしたいなら、抗がん薬治療も行ったほうが良いです。抗がん薬の副作用は使用する薬剤によって異なります。ご相談者さんの場合、再発リスクスコアは低いので、あまり強力な抗がん薬ではなく、TC療法(ドセタキセル+エンドキサン)4サイクルや、脱毛のないTS-1内服などが考えられます。