甲状腺がん手術後、生活で気をつけることは?
甲状腺乳頭がんの1期と診断され、甲状腺を半分切除しました。甲状腺ホルモンの値は少し低くなったそうですが、ホルモン剤による補充をするほどではないので、しなくてもよいと言われました。術後の経過も順調なのですが、1つ気になることがあります。甲状腺の機能が低い人は、昆布などの海藻をあまり食べないほうがよいと聞きました。これから、どのような食生活を心がけたらよいのでしょうか。
(佐賀県 39歳 女性)
A 甲状腺機能を低下させる昆布に注意
杉谷 巌さん
甲状腺が半分残っていれば多くの場合、甲状腺機能の低下は起こらないのですが、もともと橋本病(慢性甲状腺炎)のあるような方では、若干の甲状腺機能低下が起こることがあります。甲状腺の機能というのは、新陳代謝を整えて体を元気にすることです。甲状腺の機能が低下すると、むくみが出たり、寒がりになったり、脈が遅くなったり、体重が増えたりしてしまいます。
甲状腺の摘出によって甲状腺機能が少しだけ低くなった人は、食生活などでヨードの過剰摂取に気をつける必要があります(明らかな甲状腺機能低下であれば、甲状腺ホルモン剤の生涯にわたる補充を行います)。
昆布などの海藻類にはヨードが含まれていて、甲状腺機能を低下させる作用があります。したがって、ご相談者のような方にとってあまりよくありません。海藻類を絶対に食べてはいけないということではありませんが、昆布には要注意です。昆布は、海藻の中でもヨードを最も多く含んでいます。少量を食べただけで、甲状腺機能がぐっと下がることもあります。ヨード入りのうがい薬などもあまり頻繁に使わない方がよいでしょう。
ひじきやわかめなどは、昆布に比べて大きな影響はありませんが、健康によいからと言ってあまり食べ過ぎないように注意しましょう。もっともヨードががん自体の経過に影響することはありません。