全摘後の放射線治療は行うべきか
昨年(2023年)4月に右乳がんに腫瘍が見つかり、リンパ節転移が1個確認されました。12月に手術を行いました。ホルモン受容体とHER2が陰性のトリプルネガティブ乳がん、ステージⅡと診断されました。6月から術前化学療法、キイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)とカルボプラチン+ドセタキセルの併用療法を3カ月、その後キイトルーダと別の抗がん薬(エピルビシン+シクロホスファミド)を3カ月実施し、12月に右乳房全摘術を受けました。
術中生検でセンチネルリンパ節への転移が陽性となり、リンパ節郭清を行いましたが、他のリンパ節からのがんは見つかりませんでした。手術を担当した医師からは術後、放射線治療は行わず、ペムブロリズマブだけを継続する方針を示されました。その後、この医師は別の病院に移り、後任の医師からは放射線治療を勧められています。どちらの方針が正しいのか悩んでいます。
(43歳 女性 静岡県)
A 全摘後の放射線治療は施行すべき
板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん
乳腺外科医長の上野貴史さん
ASCO(全米臨床腫瘍学会)での乳房切除後補助照射ガイドラインでは、術前化学療法を行った後にリンパ節転移が見つかった場合には、乳房全摘後の放射線治療は再発リスクを減らす効果があるため、施行すべきだと明言されています。
術後の放射線治療をやらなくていいと言った医師は多分そのことを知らなかったのでしょう。放射線治療は標準的には25回、50㏉ですが最近は16回と期間を短縮して施行することも行われています。