ホルモン療法で蕁麻疹、中止した場合の再発リスクは?

回答者●上野貴史
板橋中央総合病院乳腺外科医長
発行:2024年8月
更新:2024年8月

  

2022年10月に右乳房に2.2㎝の腫瘍が見つかり、2023年1月右乳房全摘手術を受けました。リンパ節転移はなく、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、Ki67値は低く、穏やかな顔つきのステージⅡの乳がんと診断されました。

術後はホルモン療法としてタモキシフェンの服用を始めました。開始直後から手や足、顔に強いかゆみを伴う湿疹が出て、蕁麻疹と診断され、アレルギー症状を抑える薬を使用しましたが、かゆみは継続しました。そこでタモキシフェンの服用を止めると、途端に症状は改善しました。主治医からは、乳がんの再発リスクは少ないので、ホルモン療法は中止して経過観察しましょう、と言われました。ホルモン療法は5年が標準治療なのに私は半年しかしていませんが、再発のリスクはないのでしょうか。またタモキシフェン以外の選択肢はないのでしょうか。私は閉経前です。

(43歳 女性 新潟県)

薬を替えてホルモン療法の継続を

板橋中央総合病院
乳腺外科医長の上野貴史さん

抗エストロゲン薬タモキシフェン(商品名ノルバデックス)の服用を止めると、かゆみなどの症状が改善されたということであれば、別の選択肢としてアロマターゼ阻害薬を、生理を抑える注射と併用しながら使う方法があります。

リュープリン(一般名リュープロレリン)やゾラデックス(一般名ゴセレリン)などのLH-RHアゴニスト製剤とアロマターゼ阻害薬の組み合わせのほうがタモキシフェン単剤よりは効果は高いことがすでに証明されています。ホルモン療法は5年使用が標準です。まだ半年しかされていないようですが、再発リスクを抑えるためにもホルモン療法を続けられることをお薦めします。

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