ベルケイドによるしびれがつらい。しかし、休薬に不安

回答者:薄井 紀子
東京慈恵会医科大学付属第3病院 腫瘍・血液内科診療部長
発行:2011年4月
更新:2013年12月

  

多発性骨髄腫が再発し、ベルケイドの治療を行っています。薬は効いているようなのですが、手足のしびれがひどく、休薬することになりました。しびれはつらいですが、治療を休むのが不安です。しびれはどのくらいで治まるのでしょうか。治療は再開できるのでしょうか。

(山形県 女性 64歳)

A 休薬で症状が軽減すれば治療再開も可能

多発性骨髄腫の再発治療に使われるベルケイドという薬剤には、手足などにしびれやぴりぴりとした痛みを伴う末梢神経障害の副作用があります。

とくに日本人に多く、25パーセントの人に症状が現れます。ベルケイドのようなプロテアソーム阻害剤と呼ばれるタイプの薬は、神経の栄養因子にくっついて悪さをし、感覚を麻痺させたり、痛みを起こすようです。

この末梢神経障害の症状は最も軽い症状をグレード1とし、最も重症なグレード4までの段階に分け、段階に応じた症状の対処の仕方が定められています。

相談者は手足のしびれがあるとのことで、おそらくグレード2だと考えられます。休薬するとのことですが、しびれがとれるまで、投与を止めてからだいたい100日、長くて1年ほどかかる患者さんもいらっしゃいます。ただ、少し休んで症状が軽くなるようでしたら、また治療を再開できるかと思います。

薬剤の量を減らして投与を続ける方法もあります。標準量の1.3ミリグラム/平方メートルから半分の量にする、あるいは週に2回の投薬を1回にするなどの減薬をして投与を続けます。減薬することで痛みやしびれが治まるようなら、再び標準量に戻します。

メチコバール(ビタミンB12)など、末梢神経障害を改善する薬剤もあります。

また多発性骨髄腫の再発治療薬にはサリドマイドやレブラミドなどの薬剤もあるので、これらの薬剤に変えることも選択肢として考えられます。ただ、薬剤によって作用が異なるので、主治医とよく相談することが大切です。

ベルケイドは多発性骨髄腫を抑える非常に良い薬剤ですので、副作用が出たからといって治療を止めてしまうのではなく、症状をコントロールして、できる限り使い続けることが理想です。

末梢神経障害は、身体が冷えると痛みが出てくるという人が多いので、なるべく身体を冷やさないようにしましょう。水仕事をされる方は手袋をするなどの工夫をすると良いでしょう。お風呂に入って血液の循環を良くすることで症状が少し軽減する患者さんもいらっしゃるようです。

しびれなどで感覚が鈍くなっている場合は、指先や足先などにけがをしても気づかない場合がありますので、注意してください。保湿クリームで手足を保護するのも良いでしょう。

ベルケイド=一般名ボルテゾミブ メチコバール=一般名メコバラミン錠 レブラミド=一般名レナリドミド水和物

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