虫歯で、骨転移へのゾメタが中止に。痛みをとる方法は?
2001年に左乳房にがんが見つかり、乳房温存手術を受けました。しかしその1年半後に腰椎への転移が見つかり、抗がん剤とハーセプチン*による治療を受けながら、放射線治療も合わせて受けました。ただ、そうした治療のかいもなく、それから股関節、仙骨と転移を起こしており、いくつかの抗がん剤を使いながら、現在も治療を続けています。またそれと並行して、骨転移による痛みを抑えるために、ゾメタ*を服用していたのですが、今年に入って虫歯が出来ていることがわかり、主治医からゾメタを使うことができないと言われてしまいました。この薬以外に痛みをとる方法はあるのでしょうか。ときどき腰や脚に痛みを感じて動けなくなり、じっと横になることもあります。
(香川県 女性 58歳)
A ゾメタを続ける選択も。オピオイド鎮痛薬も使って
骨転移の治療薬であるゾメタは、骨の中の破骨細胞という、骨を溶かす細胞の働きを抑えて、骨転移したがん細胞が骨内で増大したり、骨折しやすくなったりする状態を改善する薬剤です。
しかしその一方で、歯科治療、とくに抜歯などをした後に、顎の骨が壊死してしまう、「顎骨壊死」という副作用が起こることも知られています。ですから、ゾメタの服用を始める前には、虫歯の治療を前もって行っておくのが原則です。
恐らく主治医の先生は顎骨壊死の副作用を心配して、ゾメタの投与を中止すると言ったのだと思います。しかし、たとえ虫歯が出来ていたとしても、抜歯などの処置をしなければ、これまで通りゾメタを用いても問題ありません。
また、たとえ抜歯をしても必ず顎骨壊死を生じるわけではなく、ゾメタの成分が血中から消失するのも長時間かかるため、がんの状態が悪い場合には、副作用に注意しつつ、ゾメタの投与を続けることも選択肢としてはあり得るとされています。つまり、どちらのリスクをとるのかという問題です。
そもそも、ゾメタという薬自体、がんの骨転移による骨折予防や進行を抑える効果が主であり、骨の痛みを抑える効果はそれほど強くはありません。
骨の痛みに関しては、むしろ早い段階からオピオイド鎮痛薬を導入していくことが勧められます。オピオイド鎮痛薬の副作用としては、便秘や吐き気などがありますが、これらの副作用をうまくコントロールしつつ、早い段階から痛みをとっていくことが大切です。
*ハーチセプチン=一般名トラスツズマブ *ゾメタ=一般名ゾレドロン酸