炎症性乳がんと診断。治療法は?
炎症性の乳がんと診断されました。主治医からは炎症性乳がんは性質が悪く、進行乳がんであること。今後の治療法としては、がんの組織を採取して、ホルモン受容体やHER2タンパクの有無などを調べた上で、抗がん剤治療を行うといわれました。主治医の言う通り、「炎症性乳がん=進行乳がん」ということなのでしょうか。また、最初に抗がん剤治療を行うのが、炎症性乳がんの標準治療になるのでしょうか。
(佐賀県 女性 56歳)
A まずは抗がん剤治療を
炎症性乳がんは、皮膚のびまん性発赤、浮腫、硬結(皮膚が硬くなること)を示す、特殊なタイプの乳がんであり、病理学的に皮膚のリンパ管の中にがんがみられることが多く、進行が早く、悪性度の高い乳がんです。
なお、炎症性乳がんと診断された時点で、病期は3期以降となります。一般的に、3期以降を進行乳がんというので、そういった意味では、「炎症性乳がんは進行乳がん」と言えます。もちろん、その逆の、「進行乳がんは炎症性乳がんである」とは言えません。
炎症性乳がんの標準治療は、主治医の先生がいわれているように、まずは抗がん剤治療を行うのが一般的です。炎症性乳がんを全身病ととらえて、全身に対する治療を優先する必要があるからです。
治療としては、まずは抗がん剤治療を行い、その後、可能なら手術、さらに放射線治療をし、もしホルモン受容体が陽性であれば、ホルモン療法を行います(場合によっては、術後に追加の抗がん剤治療を行うこともあります)。また、HER2タンパクが陽性であれば、ハーセプチン*を上乗せして、治療を行います。したがって、主治医の先生が言われているように、まずは抗がん剤治療をしっかりと受けることをお勧めします。
*ハーセプチン=一般名トラスツズマブ