小細胞肺がん、抗がん剤は効きやすいか

回答者:坪井 正博
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科医長
発行:2011年7月
更新:2013年12月

  

小細胞肺がんと診断されました。がんが肺の胸膜を越えて広がっているため、抗がん剤治療をするといわれました。抗がん剤が効きやすいがんと聞きましたが、本当でしょうか。副作用についても教えてください。

(富山県 女性 61歳)

A 効くが、効果が長く続かない

小細胞肺がんは肺がん全体の12~13パーセントのがんです。病期によって2種類に分けられています。片肺だけにがんがあり、肺の間にある組織や近くのリンパ節に転移がみられる場合を限局型、がんが原発の肺の胸膜を越えていて、体の他の部分に広がっている場合を進展型と分類されます。ご相談者の場合は、進展型小細胞肺がんであると考えます。

限局型の場合は、合併症などがなければ抗がん剤と放射線の併用療法を行います。体力が許せば、抗がん剤はシスプラチンとエトポシドを使います。一方、進展型では、シスプラチンとイリノテカンの抗がん剤治療を行います。シスプラチンの併用が難しい場合はシスプラチンをカルボプラチンに変えて2剤を併用する、もしくは単剤で使用します。

病期に関係なく、小細胞肺がんでは抗がん剤は比較的効きやすく、7割の患者さんでがんが小さくなるなどの効果が得られます。ただ、その効果が長く続かないというのが難点です。小細胞肺がんの場合、一旦消えたように見えてまた出てくるので、「再燃する」というとらえ方があります。

ただ、カルセドなどの新しい抗がん剤など、使える抗がん剤も増えてきたので、使っていた抗がん剤の効き目がなくなっても、他の抗がん剤に変えていくことで、がんを抑え続ける可能性がでてきます。実際、小細胞肺がんの生存率は、以前に比べて延びてきています。

副作用については、イリノテカンでは下痢などの懸念される特徴的な副作用が現れる場合があります。また、UGT1A1という代謝酵素の異常を調べ、異常があればイリノテカンの副作用が出やすいことがわかります。これは血液検査で簡単に調べることができます。いずれにしても、小細胞肺がんに効果の期待できる抗がん剤に関してはだいたいどこの施設でも医療者がずいぶん使用に慣れているので、副作用対策をよくお聞きになられると良いでしょう。

シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ エトポシド=商品名ベプシド/ラステット イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン カルセド=一般名アムルビシン

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