術後のリハビリについて知りたい
大きさが5cmの乳がんになり、乳房の全摘出とともに大胸筋、小胸筋も取りました。その後、常に腕がしびれていて痛く、うまく動かせなくて医師に相談したところ、「深く切除したので、苦しいのは当たり前」と言われました。私は主婦ですから、食器の出し入れや、掃除、洗濯など、腕を使わないわけにはいきません。ぜひ術後のリハビリについて教えていただけないでしょうか。また、リンパ浮腫の心配もしております。
(千葉県 女性 50歳)
A 1日1回は、リハビリを
現在は術前化学療法を行うことにより、大胸筋や小胸筋を取る手術自体、あまり行われなくなっています。ご質問者のようなつらい思いを術後にされている方は、今はだんだん少なくなっています。
しかし、現在行われている大胸筋や小胸筋を取らない手術でも、術後腕がしびれるということは、ないわけではありません。
1つは、脇のリンパ節を手術で取るときに、どうしても肋間上腕神経という神経が切れてしまい、二の腕あたりがしびれるように感じたりすることがあります。
もう1つは、術後のリハビリを怖がって、しっかり行わなかったために、肩の関節や筋肉が縮こまってしまうことがあります。リハビリ自体に多少の痛さ、つらさがありますが、頑張って続けることでそれを防ぐことができます。
今は手術法自体が進歩しているので、術後のリハビリをきちんと行えば、腕を本来のように動かせるようになるはずです。多くの患者さんはちょっと考えすぎて、リハビリは難しいものだと思い込んでいるようです。しかし、実はリハビリは本人の力だけで簡単にできるのです。
術後に医師からリハビリ開始の指示が出たら、1日1回、数秒で構わないので、腕を可動域まで動かしてみてください。
手術直後の場合は、腕が多少痛かったり、突っ張っても、現状の可動域よりも少し先を目指して腕を動かしてみましょう。
毎日続けることで、本来の可動域まで、腕の動きを取り戻せるはずです。
また、脇のリンパ節を郭清すると、二の腕の内側を触っても自分の腕のように感じないことがしばしば起こります。これを「肋間上腕神経の切断による知覚麻痺」といいます。
一方「リンパ浮腫」とは、がんの治療において、手術でリンパ節を取り除くことによってリンパの流れが停滞することで、腕がむくむ症状をいいます。
このように「知覚麻痺」と「リンパ浮腫」はそれぞれ別の問題なのです。これら2つを混同して、多くの方が腕の感覚がなくなっているから、リンパ浮腫になっているのではと思い込んでしまいます。しかし、知覚麻痺の場合には、腕の太さに変化はありません。
ただし、リンパ浮腫の場合、腕が麻痺する症状があるので判断が難しいのも確かです。腕があきらかに太くなっていると感じたら、1度病院で診てもらいましょう。