リンパ節転移のある口腔底がん。治療法は?
入れ歯を取り換えているとき口の底に違和感を感じ、病院で診てもらいました。原発巣が3cmの口腔底がんで、首のリンパ節転移も1個あると診断されました。どのような治療がいいのでしょうか。
(青森県 男性 68歳)
A 手術と、頸部のリンパ節郭清術を行う
口腔底がんは、一般的に切除手術が必要です。がんの切除部分の大きさによっては、体の他の部位から再建術(移植)を行います。再建は腕・胸部の皮膚や筋肉の他に、お腹の皮膚や筋肉などを欠損が生じた部分に移植して補填します。
また、がんが下顎骨に近いので骨の一部を削ることが一般的ですが、骨への浸潤がひどい場合は腫瘍のある下顎骨の全切除も行います。その場合は同時に下顎骨の再建術が必要で、足の骨などから移植を行います。
また、ご相談者の場合、首のリンパ節に転移が1個ということで、頸部リンパ節の郭清術が必要となります。頸部リンパ節郭清術は、転移したリンパ節のみを摘出するのではなく、リンパ節周囲の脂肪組織や血管・神経・筋肉などを含めて一塊に切除するものです。切除したリンパ節を顕微鏡で調べて、リンパ節からがん細胞が勢いよく飛び出している、いわゆる「節外浸潤」が起こっている場合、術後、頸部に放射線を照射したほうが予後は良いとされています。
このように、口の中の原発巣を切除する手術と再建術、そして頸部のリンパ節郭清が一般的です。しかしどうしても口の中を切りたくないという患者さんは、最近では動脈を使った抗がん剤治療と放射線治療の併用療法で行うこともあります。