明細胞腺がんの術後化学療法は効果がないか?

回答者:上坊 敏子
社会保険相模野病院 婦人科腫瘍センター長
発行:2012年10月
更新:2013年12月

  

卵巣の明細胞腺がんの手術を受け、1c期と診断されました。手術のあとの抗がん剤治療のため、現在、2回目の入院をしています。全6コースの抗がん剤治療を、受ける予定になっています。タキソールとパラプラチンという抗がん剤を併用した治療を受けていますが、先日「明細胞腺がんには、効果が期待できない」と医師から言われました。すごく落ち込んでいます。何かほかに、いい治療方法はないのでしょうか。

(山形県 女性 53歳)

A 効果はある。今の治療を続けるべき

1c期のがんですから、手術によってがんが完全に摘出できているという前提でお話をします。基本的に現在治療中のタキソールとパラプラチンによるTC療法を継続するのがよい選択だと思います。確かに、明細胞腺がんは、他の上皮性卵巣悪性腫瘍と比べて、TC療法の効果が低いと考えられています。

しかし、明細胞腺がんにTC療法が全く効かないということではありません。完全に摘出できているのなら、明細胞腺がんでも治療効果は十分期待できます。

明細胞腺がんには、イリノテカンとシスプラチンの併用療法がよい効果を上げるという報告もあります。ただし、この治療法がTC療法よりも本当に有効であるかどうかについては、目下、大規模な臨床研究の結果を待っているところです。

したがって、現在行われているTC療法を中断したり、変更したりする必要はないと考えます。

タキソール=一般名パクリタキセル パラプラチン=一般名カルボプラチン イリノテカン=商品名カンプト/トポテシン シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ

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