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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第73回 天竺とインド 〝遠い〟or〝近い〟<T字のポーズ>

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2024年6月
更新:2024年6月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

「円が安くなった」「日本での買い物は今すごくお買い得だ」と、旅行客に口々に言われると、なんだかあまり気持ちよくない。

安くて安全な日本は、自分が外国人になっても〝来たい国〟かもしれません。

円が強かった時代の海外旅行

確かに1ドル80円だった時代、世界中どこに行っても物価が安いと感じましたっけ。

インドでは、手の込んだ刺繍やシルクの織物がその技術のレベルとかけた時間に比して、とんでもなく安く入手できたりすると不思議な気持ちになりました。

娘が生まれたら、母親は娘が嫁ぐ日に着る衣装を早々に作り始め、それだけでなく嫁ぎ先で祭礼時に着る衣装も少しずつ作り始めます。娘は娘で、やがて嫁ぐ夫の両親への手の込んだ死装束まで作ります。そういう風習の地域があると聞きました。

「どれだけ時間をかけてもいい」というのがつくり手の喜びだといいます。効率性が重視される市場原理と対極にある価値観です。

本来は市場に出るものではなく、それが何らかの事情で市場に出ると、当時の日本円で換算すると法外に安い!

90年代にインドで暮らした話を、友人から聞いたことがあります。

日本円で500万円をインドの銀行に預けたら、当時は13%という高利子がつき、それだけで生活がまかなえたというのです。しかも掃除洗濯や食事づくりをするメイドと、庭を手入れする庭師まで雇えたと。

ただ安く暮らせるという理由だけで、インドで暮らしている欧米人も少なくなかった時代です。おまけにマリファナや麻薬も手に入れやすいと。

圧倒的な貧しさと高い精神性をもつ聖者たち、その対比にも度肝を抜かれます。

日本から脱出してインドを旅した友人知人は、その混とんの魅力について語り、香辛料の豊かさに驚き、トイレの汚さに衝撃を受けます。

現在のインドの強みは

今インドは政治的にも経済的にもしたたかに成長を遂げ、国連の推計によれば2024年4月末には人口が世界1位となります。

グーグル、マイクロソフト、IBM、マスターカード、スターバックス、シャネルといった世界的な大企業のCEOが〝インド出身〟だということはニュースでも取り上げられます。

ところで、最寄り駅の構内にできたスターバックスのお店はいつも若い人たちで満席です。窓に面した席では、多くはマイクロソフトのノートパソコンやタブレットを使い、たぶんグーグルで資料を集めているのです。そのほかの客もスマホをのぞいています。

私たちが日常的に接している世界的な企業のトップに日本出身ではなく、インド出身ということを当たり前に受け入れています。

21世紀に入り、わたしたちが住む世界は急速に流動性を増し、不確実で複雑であいまいになっています。このような世界では多くのインド出身者の不安定で不確実、複雑であいまいさに強いという特性は大きな武器となると分析されています。

インドでは英語を公用語の1つにしていることも大きな要因です。今も昔もインドは近くて遠い、遠くて近いと感じます。

わたしどもが日々行っているヨガは、もともとはインドが発祥の地ですが、インドはとてもとても広く、インドヨガといっても実にさまざまな流派があります。日本でのヨガを考えるとき、わたしはカレーを比喩にするとわかりやすいのではと思います。

日本のカレー文化が多様に発展し、わたしたちの食生活に根付いているように、ヨガも同様です。日本に紹介されて約70年。さまざまにアレンジされて、わたしたちの暮らしに溶け込んでいます。

たとえばビーフカレー。牛が神聖な生き物としてあがめられているインドではありえないカレーだけど、英国や欧州経路で日本に入ってきて、確かにうまい。南インドカレーは香辛料の使い方が多様で、さらりとした食感に抗いがたい魅力があります。子ども時代、キャンプに行ったときの定番のカレーライス(福神漬け付き)のおいしさもあなどれません。

ちょっとしたスーパーにはカレーコーナーがあり、レンジで温めればすぐ食べられるレトルトパックが何十種類も置いてあります。今や日本の国民食というまでにカレーは身近なものになっています。

カレーと比べてしまうとまだ小さい流れですが、ヨガも同じです。さまざまに工夫され、進化し、発展しています。

それにしても、がんと付き合ううえで、ヨガをやっていてよかったという人が本当に多いのはなぜでしょう?

自分の体を、ひいてはわたし自身を尊重する具体的な方法がそこに含まれているからだと思います。どの流派かに関係なく、一度体験してみると、その気持ちよさ、自己肯定感に癒されるのが味わえます。

ちょっと難しいかもバランス系のポーズ

今月はバランス力を高める<T字のポーズ>を紹介します。難易度が高いので、くれぐれも適当にやってください。

流れが大事なので今までやってきて、おぼえているポーズも組み合わせて、くつろぐことも入れて、15分くらいゆったりした流れで行えれば「よし!」です。好きなストレッチを入れてもOKですよ。

<T字のポーズ>

 

①両足を揃えてすっと立ち、胸の前で合掌。息を吐いておく
②息を吸いながら合掌した両手を上方に伸ばす。ここから自然呼吸で
③左足を1歩前に踏み出します
④踏み出した足に重心をかけて、膝を曲げながら、右足をスススーと後方に下げていきます。両手の指先から右足のつま先まで45度くらいの角度になる
⑤ゆっくり右足のつま先を床から離し、身体の角度を90度近くまで倒していく。そのまま楽な呼吸でキープ、自分のタイミングで戻します。
左右を変えて同様に行う

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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