マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第76回 これは始まりに過ぎない?<椅子を使った背中立ちのポーズ>
立秋過ぎてもまだ暑い。
旧盆過ぎてもまだまだ暑い。
5月下旬からずっと暑い。
2024年夏が、記録的に暑く長い夏だったと記憶されるのか、夏というものが4カ月は続く暑く長く果てしないものとして常態化する、その始まりの年だったと記録されるのか。
自分の直感を信じる
近年、著名人が自らのがん体験をSNS上で公表するケースが増えています。
最近では梅宮アンナさんが浸潤性小葉がんという珍しいタイプの乳がんであることを公表しています。毎年人間ドックを受けていたのに発見されず、自分の胸を鏡で見たとき、あれっ? と思ったそう。右胸だけ小さくなってるって。
これはおかしいと早速病院に行ったところ、マンモグラフィやエコーでも異常は見つからない。
でも「何かおかしい」という自分の直感に従い、細胞診までやってもらい、乳がんと判明しました。ステージ3a、早期の段階を過ぎていました。
最初に化学療法を行って、腫瘍を小さくしてから手術するという治療計画です。
毎年健診を受けていても発見されない、何かおかしいと思って受診しても、マンモグラフィにもエコーにも映らなかった、というところがSNSを騒がせています。
専門医によると、発見されにくいがんというのがあるのだそうです。稀少タイプのがんだからというのではなくて。
何かおかしいと食い下がったところが立派でした。
「がんは隠れるのが上手なんです」、「1,000人いたら1,000通りの、がんの顔つきがある」のだそうです。
何でがんになったかわからない
1日のうち私たちの人体にはがん細胞がいくつも生まれています。その中の1つがたまたま10〜20年かかけて育ってしまって発見されるのががんです。
ストレスがよくないと言われていますが、がんになって初めて、そういえばと思い当たるくらいなものです。
「神様が気まぐれに弓を引いたのがたまたま当たった、というくらいのものらしい。なってしまったものは引き返せない。ここからどうするかどう生きていくかは決められる」がんヨガを始めたリエさんの言葉が思い出されます。
がんになったことで向き合う
経済アナリスト馬渕磨理子さんの乳がん体験を対談(週刊新潮7月25日号「岩田明子の貴方にスポットライト」)で読み、その潔さというか武者ぶりにぶっとびました。
馬渕さんは1984年生まれ、40歳からの乳がん検診には達していない年齢でした。ところがコメンテーターを務めているTVの情報番組で男性乳がんの特集があり、自分が感じたことをコメントすることを心がけている馬渕さんは収録3日前に乳がん検診に行き、彼女の場合はマンモグラフィで発見されました。
2カ月後に入院。摘出手術、同時に乳房再建の手術も受けたそうです。
わたしが感動したのは、親との関係でした。
20代後半から30代前半、非常に伝統的な価値観を持った親から、結婚や出産についてプレッシャーを受け続けていました。
「30過ぎて結婚してなかったら恥ずかしい」とか「それまでに子供を産まなかったら、そとに出られないわ」と言われていたのだと。
親が望む娘の生き方というのは、地元で高校の教師をして、婿養子をもらって、子どもを産んで実家の隣に住むことでした。
まわりがどんどん結婚して子供を作っていく中で、そういう生き方を自分は本当にやりたいのかと問い直します。そして上京、この8年ほど親とは断絶状態にあったといいます。
乳がんを公表したので、父親からSNSを通して連絡があり、上京したいという申し出を受け、その必要はないとはっきり断るのです。そのとき、ずっと向き合えていなかった親に初めて自分の気持ちを説明します。
自分は上京して男性社会の中で1人で生きてきたし、これからも自分の足で立っていく、だから2人の存在は必要ないということを伝えたのだといいます。
「来てもらっても、自分のことで精一杯なので、構う余裕がないんですよね」
そういうことをはっきり言える人は意外と少ない。
ある意味、そう説明する自分の必死さをちゃんと受け止める度量があると、親のことを信じられたのですね。
「1人で入院して、退院時もタクシーを呼んで1人で帰りました」
まったく問題なかったと断言するその言葉に励まされる人も少なくないことでしょう。
これは始まりに過ぎない
乳がんでどういう手術を選択するにしろ、今までとは違う自分のおっぱいとの付き合いが始まります。自分の今はもう失ったおっぱい、自分の左右不均衡な身体とどう付き合って行くのか。
乳がんをきっかけに、自分の気持ちに向き合い、限られた時間とエネルギーを何に使うのか。レギュラーの仕事は半年間休むことにしたものの、「傷口が裂けても感染しても」やりたい仕事が3つあったと馬渕さん。
そういえば乳がんヨガを始めたリエさんも、ヨガのインストラクターの仕事を再開させたいが、傷口が開いてしまう心配を口にすると、当時の主治医は「がんというほんとに命にかかわる病気を生き延びているのだから、傷口が裂けるくらい簡単に治る」と請け負ってくれたというエピソードを思い出します。
<椅子を使った背中立ちのポーズ>
夏の暑さに弱ってくるのが胃腸の働きです。暑いので、あっさりしたもの、さっぱりしたもの、冷たいものに食べるものが偏りがちです。1日の大半をエアコンの中で生活するため、喉も不調になりがちです。
その上コロナ新型もすごく流行っています。
疲れやだるさを感じたら<椅子を使った背中立ちのポーズ>をぜひ試してください。
気楽に胃腸の体位を逆転させる、腹式のゆったりした呼吸をすることで、お腹が温かくなるのがわかります。暑い暑いと思っていても、腹部は意外と冷えています。そのことに気づかされます。チョコっと休憩にぴったりです。
①4本足の椅子にヒップを近づけるようにして仰臥します。膝から下を座面に乗せて、ヒップを椅子の足の間に少し入れるくらいまで近づけます
②椅子の前2本を、左右の手でしっかり握ります
③大腿を胸に引き寄せ、左右の足裏を椅子の座面の前面に軽く押し当てます
④ゆっくりヒップを床から上方に引き上げ、かかとを座面に乗せます。<ヒップリフトのポーズ>のヒップを引き上げるのと同じ要領です。頸や肩をリラックスさせて、体幹を逆転させています。逆転といっても45度くらいですが、頸や肩に心地よい刺激が加わります。また肛門を軽く閉じ、ヒップをぐっと持ち上げてから、ゆっくりヒップの位置を加減していきます。腹部がリラックスする位置を見つけましょう
⑤ゆったりしたテンポで腹式呼吸を行います。呼気でお腹をへこませて十分に息を吐きます。下腹部(恥骨の少し上)がへこむのが感じられます。
吸うときはお腹を緩め(少し持ち上げる感じ)、4~8呼吸
⑥ヒップを椅子の座面に下ろし、お腹に手を当て腹式呼吸4呼吸。
2セット続けてもOKですね
このポーズでは椅子は安定していますが、心配なら椅子の背をドアや壁に押し当て行ってください。
がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp
●こころとからだクリニカセンター
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