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マインドフルネス・ヨガ:それでいいのだ! 第72回 アフター・コロナ<半月のポーズ>パート2

森川那智子 こころとからだクリニカセンター所長
発行:2024年5月
更新:2024年5月

  

もりかわ なちこ こころとからだクリニカセンター所長。カウンセラー・ヨガ指導家。心療内科と提携し、カウンセリングを中心に、ヨガ、リラクセーション、瞑想を取り入れた療法で、心と体のサポートに取り組む。『なんにもしたくない!』(すばる舎)『リラックスヨガ』(成美堂出版)『心がラクがずっと続くヒント』(青春出版社)など著書多数

新型コロナ感染症が2類から5類に移行してちょうど1年。コロナ禍で中断していたもの・ことが次々と催行されるようになりました。

学生たちの修学旅行は去年の夏以降は実施されています。高校野球をはじめ、各種スポーツの声出し応援も解禁。去年の夏の甲子園の決勝戦。慶應義塾大付属高校は大応援団を繰り出し、その大声援のせいで、対戦相手仙台育英は野手同士の交わす合図の声が聞えなくなって失点した、と一時話題になりました。

個人的には、大相撲の声援が拍手だけという場所の異様さが印象的でした。歌舞伎座でも大向こうから「よっ! 中村屋‼︎」の掛け声がいつからかけられるようになったのか、もう記憶が定かではありません。

天皇誕生日はとんでもなく寒くて荒れた天気だったのに、一般参賀に6千人も人が集まったとか。人って集まることがこんなに好きだったのか、とコロナ禍明けの日々では新鮮でした。

それにしても今や駅も電車も混んでいること。山盛りの人、人、人……。はやくも人の多さに辟易とします。

コロナで激変した日常風景の記憶

20人以上の食事会、4年ぶりでした。離接しているクリニックと合同で新年会を開いたのでした。その席で、コロナ真っただ中なときの体験談が誰からともなく語られました。

曰く、よんどころない用事(「不要不急の用事ではなくて」とつい言い訳してしまうあの頃の空気!)で、日曜日に出てきた高田馬場。長いプラットフォームの端から端までに、人がほんの3、4人いただけ。山手線は1車両に乗客が1人だけだったとか、しかも風薫る5月の日曜日の午後。

曰く、地下鉄新宿駅から新宿3丁目につながる地下道を1人で歩いていたとき、コホンと咳払いする音が聞こえた。周りをみわたしても人はいない。それは、はるか遠くにいる中年男子がコホンと咳払いした音だとわかってびっくりしたとか。

かく言う私も、新宿発のバスに乗ったとき、乗客は自分ひとり。いつものあたりまえの情景から人影だけが激減している。SF的と言っていいような奇妙な感じ。

2020年5月、緊急事態宣言が東京都に発令され、ヨガスタジオも休業を要請されたのでした。世の中の空気というものはこうして一変するのか、と驚く日々も少しずつ慣れていきました。

この4年の間、少なくない友人との別れがありました。それらの別れは新型コロナによるものではなく、ほとんどが悪性腫瘍(がん)によるものでした。見舞うことも極端に制限された別れでした。

キャサリン妃のビデオメッセージ

英国キャサリン皇太子妃が自らがんであること、抗がん薬治療の初期段階にあることを語りました。はじめに腹部の手術を受けた段階ではわからなかったが、その後の検査でがん性であることが判明したということでした。

私が胸にしみたのは、幼い子供たちにどう説明するか、そして大丈夫なのだと安心させることができるか、そのことを第1に考えてきたということでした。

キャサリン妃はまだ42歳、10歳の長男を頭に3人の幼い子どもを抱えています(2024年3月22日現在)。子どもたちの成長を見届けたい、見守りたい、ともに時間を過ごしたいとどんなに願っていることでしょう。

同じ病気の人たちに思いをはせるのだと言います。そしてキャサリン妃は「あなたはひとりではない」と力強く呼びかけました。

私どもが主宰している乳がんをメインにしたヨガ&トークの集まりでも、まだ子ともが小学生というような場合、なかなかがんのことは周囲に漏らせないといいます。

みんな押し黙ってしまうし、気を使われているのがひしひしとわかって、自然体でいられなくなるからと。

子どもたちが眠りについたら、ベランダや庭に出て月を眺めるのはいかが?

「私はひとりじゃない」とつぶやく。自分で自分を抱きしめる。そして、少しだけヨガしましょう。

<半月のポーズ>パート2

先月ご紹介した<半月のポーズ>とからだの使い方の基本は同じです。

まず骨盤(仙骨を意識する)を前方に移動、それに伴って両腕と上体を後方に傾けていきます。反らそうではなくて、手を上へ上へと伸ばしていくと意識することで、無理なくできます。

①両足を揃えて立ちます。足先は前方に向けます。胸の前で合掌。親指をクロスさせます
②息を吐き、肛門を閉じ、お腹を引き締めます
③肛門を閉じ、お腹を引き締めたまま、息を吸いながら両手を上方にスーッと伸ばします
④肛門を閉じ、お腹を引き締めたまま、腰(仙骨)を前方に押し出し、上体を下半身の重心移行とバランスを取るように、両腕を上方に伸ばし、さらに少しずつ反らしていく。半月まで行かなくていい。3日月か1日月くらいで十分です。
目はゆっくりと上を見上げていきます。上腕で顔を挟んでいる感じ(実際に挟んでいなくていい)。お腹から力を抜かないで(腹筋で上体を支えている)、そのまま4~8呼吸保つ
⑤静かにゆっくりと腰と上体を戻していき、③の姿勢でいったん大きく両手を上方に、顔は正面にしてから
⑥合掌を胸の前に戻し、手をほどき、両足を腰巾~肩幅に開いて呼吸を整えます

ここでの「お腹を引き締める」というのは、ジーンズなどピタリしたパンツをはいたときに、最後にジッパーを上に引き上げるときにお腹をへこませる、あの感じです。

今回は両足を閉じて行いましたが、足を腰巾=肩幅にして行ってもOK。このほうが安定します。手も合掌ではなくて肩幅に開いてもOKです。やりやすいほうで行いましょう。

「肛門を閉じ、お腹から力を抜かないで」。くどいくらい強調するのは、そうしないと腰を痛めるからです。今現在、腰痛を持っている人は③までにします。

終わった後で、腰に若干でもだるさを感じたら、<平伏のポーズ>(2023年10月号)を行って、腰仙骨を丸めます。このときもお腹をグーッとへこませます。この逆ポーズによって身体が整います。

 

がんサバイバーやそのご家族でヨガのご体験がありましたら、ぜひ体験記などをお寄せください。kokokara@center.email.ne.jp

こころとからだクリニカセンター
PC www.kokokara.co.jp/
携帯 www.kokokara.co.jp/m/

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