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- 山崎多賀子が聞く『快適に暮らすヒント』
がんサバイバーが専門家に聞いてきました!
――美容ジャーナリスト山崎多賀子の「キレイ塾」
がんになっても快適に暮らすヒント Vol.16 ニューヨークで日系人の乳がん患者支援を行う「SHARE日本語プログラム」
この(2017年)9月、全国でピアサポート活動をしている乳がんサバイバーの仲間たち16名が集い、乳がんサポート活動が盛んなニューヨークへ「視察ツアー」を決行しました。
現地主催者のブロディー愛子さんは、ニューヨークで乳がん・卵巣がん患者のサポートを行うSHARE(シェア)というNPO団体の日本語プログラム代表です。ピンクリボン運動発祥の国、アメリカで、日本人はどのような問題を抱え、どのようなサポートが提供されているのか。リアルな話をうかがいました。
山崎 愛子さん、ニューヨークでは乳がんをはじめ、がん患者のサポート現場をいくつも案内してくださり、ありがとうございました。とても有意義な時間を過ごさせていただきました。日系人を対象とした「ヘルス・フェア」では、私も講演させていただきましたが、日系人ががんになったときに抱える問題を愛子さんから伺ったときは少し意外でした。愛子さんが現在所属しているSHAREは乳がんと卵巣がんの患者サポート団体ですね。
愛子さん(以下愛子) はい。SHAREは1976年に、乳がん専門医のユージーン・ティーセン医師が、乳がん患者のメンタルサポートのために患者同士が支え合う場が必要と考え、ニューヨーク近郊の患者さんに声を掛け、12人が集まったのが最初です。その集いは継続され、78年にはNPOになりました。
最初は乳がんのみでしたが、卵巣がんも同じ遺伝子を共有することがわかってからは、卵巣がん患者のサポートも始まりました。さらにスペイン語を話す患者さんのための「ラティーノSHARE(ラテンアメリカ人)」プログラムや、日本語プログラム、アフリカ系アメリカ人のSHAREもできるなど、国の支援や寄付を募り、少しずつ組織が大きくなっています。
山崎 多額の寄付を募る「SHAREファンドレイジングパーティ」は、今回で14回目だそうですね。私たちも一番安いチケットを買って(それでも325ドル)参加させていただきましたが、会場も、振舞われた豪華な飲食のテイスティングも寄付。
オークションでは個人が多額の落札をするなど、とにかくダイナミックで華やか。寄付文化が根づいていることを目の当たりにしました。
愛子 今回のパーティは700名以上の参加者があり、5,000万円くらい集まったのではないでしょうか。それらがSHAREの活動資金になります。オフィスもマンハッタンの中心部にありますが、レンタル料のほとんどが寄付です。
山崎 スゴイですね。日本では寄付文化がなかなか根づきません。
9.11同時多発テロ直後、乳がんに
山崎 ところで愛子さんが渡米されたのは、もう40年前だそうですね。
愛子 21歳でした。その6年前に移り住んでいた姉が3人目の子供を妊娠したのを機に渡米したんです。甥たちの世話をしながら美術学校を出て、独立し、マンハッタンにある銀行で働いていたときに、アメリカ人の夫と出会い結婚し、娘も生まれました。
山崎 その愛子さんに乳がんが見つかったのは45歳のとき。
愛子 はい。テキスタイルデザイナーとして44丁目に自分のスタジオを構え、忙しく働いていた2001年9月18日に乳がんがわかりました。
山崎 アメリカ同時多発テロがあったのは2001年の9月11日! その直後じゃないですか!
愛子 そう、9.11の直後です。街は混乱していて車でマンハッタンには入れず、私はドレーンをつけて自宅のあるブルックリンから地下鉄でマンハッタンの病院まで通ったんです。
山崎 それは不安でしたね。アメリカでは術後の入院日数が短いのですね。
愛子 私の場合、全摘出の手術後に精神的に参り、病院で失神してしまったので3泊入院しましたが、今は全摘で1泊。温存手術は日帰りです。
山崎 術後の激痛を思い出すと全摘で1泊は信じられません。不安ですよね。でもアメリカは乳がん患者へのサポートは手厚いのですよね。
愛子 そうですね。私はアメリカの医療システムに乗ってサポートを受け、スムーズに治療が終わったという感じです。
山崎 その愛子さんがなぜSHAREで日本語プログラムを立ち上げ、日系人や滞在中に乳がん、卵巣がんになった女性のサポートをすることになったのですか?
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