がんサバイバーが専門家に聞いてきました!
――美容ジャーナリスト山崎多賀子の「キレイ塾」

がんになっても快適に暮らすヒント Vol.19 小児医療制度を変えてきた患児の親たちの声 治療法の進歩により、小児がんは治る病気に

山崎多賀子●美容ジャーナリスト
発行:2018年2月
更新:2018年2月

  

やまざき たかこ 美容ジャーナリスト。2005年に乳がんが発覚。聖路加国際病院で毎月メイクセミナーの講師を務めるほか、がん治療中のメイクレッスンや外見サポートの重要性を各地で講演。女性の乳房の健康を応援する会「マンマチアー委員会」で毎月第3水曜日に銀座でセミナーを開催(予約不要、無料)動画にて、「治療中でも元気に見えるメイクのコツ」を発信中

前号で、AYA世代(15歳~39歳までにがんを発症、あるいは小児がんの子供が成長した世代)について取材しました。大人として成熟する過程にある若いAYA世代は、その年代ならではの悩みがあります。

では、AYA世代よりさらに幼くしてがんを発症した「小児がん」の現状はどうなのでしょう。罹患数が少ないこともあり意外と知られていない小児がんについて、引き続き聖路加国際病院小児総合医療センター医長、小澤美和さんに伺います。

血液がんが小児がんの約40%を占める

山崎 大人のがんと異なり、0歳~14歳までに発症した様々ながんの総称を「小児がん」と呼びます。AYA世代の割合が全がん患者の3.8%ということですが、罹患数はさらに少ないそうですね。

小澤美和さん 聖路加国際病院小児総合医療センター医長。子ども医療支援室室長。日本小児科学会専門医・指導医。子どものこころ専門医・指導医

小澤 毎年2,000~2,500人が小児がんと診断されていますが、これは子供1万人におよそ1人の割合で、成人に比べてとても少ないです。

山崎 どのようながんが多いのでしょう。特徴はありますか?

小澤 小児がんで最も多いのは白血病で、リンパ腫など含めると血液のがんが全体の40%を占めます。次いで脳腫瘍、そして稀少(きしょう)がんの肉腫が多いです。小児がんは血液のがんに代表される肉腫のように、塊を作らずに広がっていくタイプのがんが多いのが特徴的です(図1)。

山崎 実は私が幼稚園のとき、仲の良かった友達が白血病で亡くなり、そのイメージを今も引きずっていて。1950年代ころは小児がんの95%が亡くなっていたそうですね。でも今は、治る人が多くなってきたと。

小澤 はい。現在は8割近くで治癒を目指せるようになり、白血病に至っては9割と言えると思います。血液のがんのような肉腫は、塊を作らず全身に広がりやすい一方で、抗がん薬などの薬物療法が効きやすいのです。そして、感染症の予防や治療、輸血などの補助療法の進歩により、多剤併用の集約的治療が可能になったことによるでしょう。加えて「層別化治療」の研究が進んだことも大きな成果を挙げていると思います。

山崎 層別化治療とは?

小澤 がんのタイプによって治療法を変えることです。例えば白血病といっても治りやすいものから治りにくいものまで色々なタイプがあることがわかり、それぞれに対して適切な治療法や期間を組み合わせることで、治療成績が飛躍的に向上ました。

山崎 それは良かった。2013年に第2期がん対策推進基本計画で、稀少がんの代表として小児へのがん対策の充実が決まりましたね。小児がんの拠点病院も全国にでき、以前に比べて支援の目も届くようになってきているのですね。

小澤 小児がんは大人と比べて桁外れに罹患数が少なく稀少がんが多いため、治療の研究も遅れがちでした。そこで地域に散らばっていた患者さんを拠点病院へ集約し、データ集積をすることで臨床研究が速やかに進むようになったことは大きいと思います。

そこに至るまでにも病院同士でグループを作り、小児がん医療に取り組んできたという経緯があります。そしてそれら後押ししてきたのは親の声なのです。

まだ小児がんが不治の病だった時代に、わが子のことで苦しんでいた親御さんたちが集まって立ち上げた「がんの子供を守る会」は、今年で50周年を迎えています。

「小児慢性特定疾病医療費助成制度」という治療費の助成制度ができたのも、がん対策基本法の支援対象に入ったのも、親の声が大きいと思います。

山崎 小児がんは本人と親が一緒に向き合うのでしょう。小児がんを、治らない病のまま放っておくわけにはいかないという親の悲願が小児医療を変えたのですね。

 

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