がんサバイバーが専門家に聞いてきました!
――美容ジャーナリスト山崎多賀子の「キレイ塾」

がんになっても快適に暮らすヒント Vol.18 15〜39歳のがん支援の谷間世代 AYA世代特有の悩みや問題にどう取り組む?

山崎多賀子●美容ジャーナリスト
発行:2018年1月
更新:2018年1月

  

やまざき たかこ 美容ジャーナリスト。2005年に乳がんが発覚。聖路加国際病院で毎月メイクセミナーの講師を務めるほか、がん治療中のメイクレッスンや外見サポートの重要性を各地で講演。女性の乳房の健康を応援する会「マンマチアー委員会」で毎月第3水曜日に銀座でセミナーを開催(予約不要、無料)動画にて、「治療中でも元気に見えるメイクのコツ」を発信中

ここ数年、がん医療の中でよく耳にするようになった、「AYA(アヤ)世代」。

Adolescent(思春期)and Young Adult(若年成人)の略で、15歳から39歳といった早い年代でがんになった、あるいは小児がん(15歳未満で罹患)の子供が成長した39歳までを指します。今、厚労省ではAYA世代のがん対策に関する政策提言に取り組んでいます。そこにはどのような背景や課題、取り組みが行われようとしているのでしょう。

今回、「総合的なAYA世代のがん対策の在り方に関する研究」班で研究をする、聖路加国際病院小児総合医療センター医長、小澤美和さんに伺います。

国に届いたAYA世代の患者の声

山崎 AYA世代は、若くしてがんになった年代で、特有の悩みや支援が必要というのはわかります。私もピアサポートに携わっているので、AYA世代と出会う機会は多いですが、一般の方からすると若くしてがんになった珍しいケースという印象でしょうか。

小澤美和さん 聖路加国際病院小児総合医療センター医長。子ども医療支援室室長。日本小児科学会専門医・指導医。子どものこころ専門医・指導医

小澤 がんの罹患年齢は50代後半から急激に増えますから、小児がんよりは多いですが、がん患者数全体からいうと、AYA世代はとても少なく、全がん患者に占める割合は3.8%です。

山崎 今回厚労省が、AYA世代にスポットを当ててがん対策の政策提言をすることになったわけですが、その背景は何があるのでしょう。

小澤 それはやはり患者さんたちの声です。

国はがん対策をライフステージに応じて支援をしていこうと決め、がんの発生数が多い壮年期、高齢期、そして希少がんの代表として小児のがんも対象に入りましたが、15歳~39歳世代の支援がそっくり抜けてしまったんです。
そこで、少ないけれど、どの地域にも一定人数いるこの(AYA)世代の声が届いたのでしょう。

山崎 支援をするためにはAYA世代の実態や特徴、他の年代とは違う困り事が何かをリサーチしなければいけない。そこで堀部班(名古屋医療センターセンター長 堀部敬三研究代表)が招集され、小澤さんも参加されたのですね。

国の支援から抜け落ちているAYA世代

小澤 人数が少なくがんの種類や発生臓器が様々であるため、これまで多くの診療科に分散してAYA世代の患者が存在し、治療が行われてきました。そのためこの世代を専門に研究する医療者はおらず、実態の把握もされてきませんでした。

医療費についても、小児がんは小児慢性特定疾病医療費助成制度で全額カバーされますし、40歳からは介護保険が使えます。ところがAYAの期間は国の経済支援が全くありません。しかも医療保険に入っていない人も多いため、がんになると経済的な負担が重くのしかかります。これに関してはAYA世代の悩みの調査で、本人も親も経済的な悩みが上位となっていました。

山崎 少数派で支援が行き届いていない年代ということですか。この年代は基本的にがん検診の対象でもありません。例えば、乳がん検診で国の補助が出るのは40歳以降ですね。もっとも乳がん検診は40歳未満が受けると、リスクのほうが大きいと言われていますが。

小澤 そもそもAYA世代のがんは、生活習慣病によるがんではほとんどないので、予防ができるものではありません。できるとしたら子宮頸がんくらいでしょうか。これも大きな特徴です。

山崎 子宮頸がんの予防ワクチンは、日本ではほとんど受ける人がいなくなりました。

ところで、AYA世代のがんは予後(よご)が悪いと言われています。それは若いので進行が早いからでしょうか?

小澤 実際に小児や高齢者の治癒率が上がっているのに比べ、AYA世代はがんの発症がどんどん増えているのに、治癒率は変わらない。つまりこの年代だけ治癒率が悪いままなのです。その背景の1番は、AYA世代に発生するがんの中には希少(きしょう)がんが多く含まれ、発症頻度が低いために治療開発の臨床研究が進めにくいことが指摘できるでしょう。小児がんも希少がんですが、ほとんどが小児科を受診しますので、少ない数ながらも臨床研究が進み、飛躍的に治癒率が改善しています。

一方AYA世代は、先ほどお話しましたように、小児科、成人科をまたぐ上にさらに様々な診療科を受診されますので、経験を集積しにくいのです。ですから、医療者側も、この年齢でがんはないという思い込みがあり、初診ではがん以外の疾患を考えてしまうことや、希少がんの場合は、確定診断までに時間がかかる場合があると言われています。そこで医療体制の見直しも、提言の1つに入れています。

また、AYA世代は、本人のがんに対する意識がなく、親も子供の体調の変化にあまり気を配りません。がんになるとは思っていないので、症状があってもなかなか病院に行かないなど、発見が遅れがちになることも懸念されます。

山崎 思春期から体もどんどん変りますし、何か症状があっても、がんの可能性など1ミリも疑わないでしょう。となるとAYA世代に罹患しやすいがんの種類は知っておかなければいけませんね。といっても年齢の幅が広いですが、どういうがん種が多いですか?

小澤 25歳未満では骨肉腫などの肉腫や脳腫瘍、精巣腫瘍、メラノーマ(悪性黒色腫)など、稀少がんと呼ばれるものが他の年代に比べて多く、同年代の中では、甲状腺がん、血液がん(白血病・リンパ腫)などの割合が多いのが特徴です。

25歳以上では、いわゆる5大がんと呼ばれるがんの中の、女性の乳がん、子宮頸がんが著しく増加します。30代は圧倒的に乳がんが多いですね。また、男女とも大腸がん、胃がん、肺がんも漸増し始めます。5大がんとはいっても、これらが発症する年齢としてAYA世代というのは非常に希ですので、同じ境遇の仲間に出会うことが難しい世代なんです(図1)。

図1 AYA世代がんの特徴

*図版出典:第1回小児・AYA世代のがん医療・支援のあり方に関する検討会より(名古屋医療センターセンター長 堀部敬三研究代表)

 

●AYA世代の患者会

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