FP黒田尚子のがんとライフプラン 2

知っておきたい「エンディングノート」活用術<後編>

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2014年4月
更新:2015年10月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

前回に引き続き“エンディングノート” についてです。前回は、エンディングノート作成上のポイントをお話しましたので、今月は、エンディングノートに関する注意点と最近のエンディングノートをご紹介しましょう。


エンディングノートの注意すべき点として、「法的な拘束力がない」という点があります。したがって、家族や身近な人に対して、必ずエンディングノートのとおりに実行すると約束させることはできません。必ず実行して欲しいのであれば、別途、遺言書などを準備しておくようにしましょう。

また保管場所にも注意が必要です。一般的に市販のエンディングノートは、生前に見られても構わないあるいは緊急時は第三者にすぐに見て欲しい内容(医療・介護、葬儀・お墓、自分のプロフィール等)と、生前に見られたくない内容(財産や相続、大切な人へのメッセージ等)が、1冊にまとめられているものがほとんどです。

そうなると、あまり人目につきやすくても困りますし、逆に万が一の場合はすぐに見つかるようにしなくてはならない、というわけで、意外に保管場所に悩んでしまいます。このような問題を解消するため、お客さまには、内容に応じてエンディングノートを2冊に分けるという方法をお勧めしています。

例えば、生前あるいは緊急時に見て欲しい情報に関するノートは、玄関先などの分かりやすい場所に置いておく。もしくは「万が一の場合は開けてください」などと大きく表記した専用の箱に入れておきます。自治体が無料配布する緊急医療情報キットのように冷蔵庫に保管して、その旨を書いた紙を玄関先に貼っても良いでしょう。

一方、生前に見られたくない情報に関するノートは、普段は金庫にしまっておいて、必要になったら家族や身近な人が取りだすようにしておけば安心です。その場合は、ちゃんと事前に保管場所を誰かに伝えておくこと!

下の図表は、市販されているエンディングノートの一覧です。最近、金融機関や葬儀社、専門家、メーカーなどから、工夫を凝らした商品が発行・販売されています。また、パソコンなどでオリジナルものをご自分で作ったり、無料のものをダウンロードしてプリントアウトしたりする方法もあります。

特徴としては、葬儀社のものであればお墓や葬儀などに関する欄が充実しているなど、発行・販売先によって力を入れている部分が異なるということでしょうか。

選ぶ際にはご自分がエンディングノートで何を伝えたいのかを整理してみると良いかもしれませんね。

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