FP黒田尚子のがんとライフプラン 4

がん患者は教育資金をどう考えたら良いか?

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2014年6月
更新:2015年10月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

晩婚化の影響で、子どもにまだまだ教育費がかかる時期にがんに罹患してしまった、という人も少なくないと思います。そんなご家庭の子どもの教育費はどのように考え、どのように準備したら良いのでしょうか?


子どもの教育費は、進学コースによって大きく変わります。基本的に公立であれば高校までは毎月の家計の中でヤリクリ。そして、家計の範囲内では無理な大学への進学費用(子ども1人に200~300万円)を高校卒業までにある程度コツコツ貯めるのが鉄則です。

しかし、中学校あるいは高校から私立という選択肢になるケースもあるでしょう。そうなると最低でも年間100万円程度×年数の支出は覚悟しておかなくてはいけません。

ある有名私立小学校の入学説明会で冒頭に「年収3,000万円以下の父兄はお帰りいただいて結構です」という挨拶があったというのは、嘘のようなホントの話です。

そんな教育費がかかるお子さんを抱えて、もし親ががんになったらどうすれば良いのでしょうか? すでに教育資金を貯めており、初期がんなどで病状も安定して完治の可能性が高いのであれば、とくに影響はないでしょう。しかし、教育資金がまったく準備できていない状態で、がん医療費や予後の見通しもつかないのであれば、進路の変更も視野に入れざるを得ません。さらに費用が足りなければ「教育ローン」や「奨学金」の利用も検討します。ただし、教育ローンはあくまでも親が借りるもので、親に返済義務が生じます。

それに対して奨学金は子ども自身の借入れになります(多くは親が連帯保証人になるので、親にも返済義務は生じる)。まずは、奨学金を利用し、それでも不足する場合に教育ローンという優先順位をお勧めします。

また奨学金にもさまざまなものがあり❶返済不要❷無利子貸与❸有利子貸与の順に年収や成績などの条件は厳しくなります。奨学金で最も利用されているのは日本学生支援機構の奨学金ですが、これは返済が必要な貸与型です。働きながら借りる奨学金(新聞奨学金)もありますし、最近は少子化の中、優秀な学生を集めたいと考える大学が独自に用意する給付型で返済不要の奨学金も増加傾向です。

また、がん患者に特化しているといえば、民間保険会社アフラックにはがん遺児や小児がんを対象とした奨学金制度を設けています。支給額は年額30万円、返済不要です。

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