FP黒田尚子のがんとライフプラン 8

もしものとき、愛するペットの世話をどうするか?

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2014年10月
更新:2015年10月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

人生をともに「家族」の一員として過ごしてきたペット。高齢者を中心に、自分に万が一のことがあったらペットはどうなるのか?こんな不安を抱える飼い主は少なくありません。今やペットのエンディング対策も重要な課題の1つです。


「動物愛護に関する世論調査」(2010年/内閣府)によると、ペットを飼っている人は3人に1人。また年齢別に見ると、50歳代以上が約6割を占めています。

ところが、最近「飼い主の死亡、病気」が、行政におけるペットの引取り理由の上位に挙げられており、相続人が「他の相続財産はいるけれども、ペットはいらない」と申し立てるケースもあるようです。

まずご家族などがいれば、ペットの世話をそのまま引き継いでもらうのも可能でしょう。ただ、住宅事情や家庭の事情、ペットと飼い主との相性などもあります。実際に引き継いだ後に、何らかの問題で手放すことになるかもしれません。その点も考慮しながら、本当に無理なく世話を継続できるのか、事前によく相談しておきしょう。

そして残念ながら、法律上ペットは「モノ」としての扱いになりますので、ペットが相続人になって遺産を相続することはできません。

【負担付遺贈の遺言書の1例】

そこで、きちんとした形でペットに財産を遺しておく方法としては、❶ペット信託(飼い主を代表にした管理会社を設立し、ペットに遺したい財産を管理する)、❷負担付遺贈(ペットの世話を条件に遺言書を作成して財産を渡す・図表参照)、❸負担付死因贈与契約(生前に契約書を作成しておく)の3つが考えられます。

どの方法を選ぶかは、予想される相続や譲渡する財産の状況、ペットの種類、既往症の有無、推定される余命などによって、ベストな選択は変わってきます。

ただ目安としては、ペットの生活をきちんと見守るスタイルで整えておきたいのであれば❶、ペットを託す相手に確実に財産を渡したいのであれば❷が適当でしょう。さらに❷は受贈者が遺贈を拒否する可能性もあります。

そんなときは❸を選んで、生前から遺贈する相手の意思を確認しておくというのも安心です。

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