FP黒田尚子のがんとライフプラン 10

「遺言書」〝争族〟にならないために、こんな人は準備しておこう!

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2015年1月
更新:2015年10月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

前回は、来年1月からの相続税の改正について書きましたが、今回は相続を〝争続〟にしないための方法―「遺言書」についてです。遺言書を作成しておきたい人や遺言書の種類、遺言書のメリットなどをまとめてみました。


遺言書というと、財産のある人だけが書くものと思っていませんか?しかし、遺言書を作っておいたほうが良いケースはたくさんあります。

具体的に見てみましょう。もし、おひとりさまが亡くなって、ご両親やご兄弟などもいない場合、原則として借金などを支払った残りの財産は、国庫に帰属します。でも、親身になってお世話をしてくれた友人・知人などの第3者がいれば、その人に財産を遺したくなるのが人情でしょう。でも、遺言書がなければ、どうしようもありません。

このように遺言書とは、自分に万が一のことがあったときに、自分の財産を誰にどのように託すかを決める意思表示の方法です。遺言書の内容は、原則として法律で定められた相続の規定よりも、優先されます。

遺言書を作っておいた方が良いケースというのは、何の準備もしておかなければ、将来家族が遺産相続をめぐって仲違いをしたり、手続きに多大な費用や労力がかかったりする可能性が高い事例なのです。

■遺言書の種類

遺言書には、大きく分けて3つがあります(図表参照)。このうち、一番確実なのが「公正証書遺言」です。費用はかかりますが(通常10~15万円)、公証役場で作成し、ずっとそこで保管されますので安全ですし、ほぼ確実に遺言を実現できます。

一方、「秘密証書遺言」は、その存在を秘密にすることができるものの、あまり一般的ではありません。さらに「自筆証書遺言」は、自筆で作成できて手軽な反面、相続開始後に発見しても、すぐに開封できず、家庭裁判所で検認の手続きが必要です。形式不備で無効の恐れもあります。

遺言書は、一度書いても気が変わったら、何度でも撤回や変更できます。皆さんも、一度作成を検討してみてはいかがでしょうか?

検認=家庭裁判所が、遺言書の存在および内容を確認するために調査する手続き

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