FP黒田尚子のがんとライフプラン 36

がん罹患後に保険料負担が厳しくなったらどうする? ~知っておきたい保険の見直し法~

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2017年3月
更新:2017年3月

  

くろだ なおこ 98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター。黒田尚子FPオフィス公式HP www.naoko-kuroda.com/

がんに罹患した後、加入していた保険の保障が十分でなく、再発や転移、他の病気などに備えて新たに保険に加入したいというニーズがある一方、「保険料支払いの負担が大きい」「子どもも独立し、高額な保障は必要なくなった」などの理由から、保険を減額あるいは解約などの見直しをしたい方もおられます。

そこで今回は、保障額を減らしたい場合と保険料の支払いが困難になった場合の見直しの方法をご紹介します。


よく「保険の賢い加入の仕方を教えてください」という質問を受けますが、基本的に保険は、「必要な期間」「必要な分」だけ加入するもの。したがって、ライフステージが変化すれば必要な保障内容や金額は変化します。ですから適宜、見直しすることが大切なのです。

まず、保障額を減らしたい場合、保険金額を減額する方法があります。当然のことながら減額した分、保険料負担が軽くなりますが、減額に伴って、同じ契約の他の保障(主契約、特約)も減額される点には注意が必要です。なお、減額された部分については解約扱いになるので、解約返戻金があれば払い戻されます。

続いて、保険料の支払いが困難な場合の方法です。おもに次の4つがあります。

⓵払済保険に変更する
⓶延長保険へ変更する
⓷自動振替貸付制度を利用する
⓸保険料支払期間の延長

まず、⓵についてです。「払済保険」とは、保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金を元に、保険期間を変えず、保障額の少ない保険(同じ種類の保険または養老保険)に変更する方法です。メリットは、保険を継続しながらも保険料の支払いが不要になる点ですが、デメリットとして、特約が消滅する点が挙げられます。

たとえば、主契約が終身保険で、疾病入院特約や通院特約、がん入院特約、先進医療特約などが特約として付加されている場合、医療保障が一切なくなってしまうわけです。がん患者の場合、治療にかかる費用を補填できなくなるので、注意が必要です。

また、解約返戻金が少ない場合や保険種類によっては、変更できない場合があります。

続いて⓶についてです。「延長保険」とは、払済保険と同じく、保険料の払い込みを中止して、その時点での解約返戻金を元に、保険金額を変えずに、定期保険に変更する方法です。

払済保険の場合、変わらないのは「保険期間」ですが、延長保険の場合、変わらないのは「保険金額」という違いがあります。

まだ子どもが小さく、教育費がかかる場合など、高額な死亡保障を残しておきたいケースなどが考えられるでしょう。留意点は、おおむね、払済保険と同じです。

そして⓷についてです。「自動振替貸付制度」とは、解約返戻金の範囲内で、保険会社が保険料を自動的に立て替えて、契約を有効に継続させる方法です。ただし、解約返戻金が少なければ、保険料の立て替えができずに失効してしまう場合があります。また、立て替えられた保険料には所定の利息がつくこともお忘れなく。

最後に⓸についてです。そのものズバリ、保険料支払期間を延長することによって、それ以降の保険料負担を軽くする方法です。一時的に負担は軽減できますが、支払いが免除されるわけではありませんので、その保険が必要かどうかの見極めが重要でしょう。

解約返戻金:保険契約の解約、失効、解除などの場合に契約者に払い戻される金額。保険の種類、加入年齢、加入後の経過年数などによって異なる。

解約は最後の手段

これらの方法が利用できないのであれば、「解約」を検討することになります。しかし解約は、あくまでも最後の手段。いったん解約すると、その契約を元に戻すことはできません。新たに契約する場合は、年齢が上がり保険料が高くなったり、健康状態によっては契約できないことも考えられます。

とくに、20年以上前に契約した古い生命保険(契約日が平成8年4月1日以前など)については、予定利率が3.75%以上(有配当保険の場合)の、いわゆる「お宝保険」と呼ばれる運用利回りが高いおトクな保険です。

生命保険の予定利率は、平成25年4月1日以降1.0%(有配当保険の場合)ですが、マイナス金利の影響で、平成29年4月以降、さらに引き下げられる予定です。予定利率が下がると保険料が引き上げられ、すでに昨年秋以降、一部商品で保険料が引き上げられた商品もあります。

見直すにしろ、新たに加入を検討するにしろ、まずは、現在加入している保険契約の活用を優先的に考えましょう。

 

今月のワンポイント 「契約者貸付制度」という制度があります。「自動振替貸付制度」と混同されることも多いのですが、これは一時的にお金が必要になった場合に、保険を担保に保険会社からお金を借りられる制度です。
借りられる額は、加入している生命保険の解約返戻金の一定範囲内(80~90%)で、貸付金には所定の利息がつきます。通常は契約した生命保険の予定利率に1~2%上乗せし、2.75%~3%程度に設定されています。
未返済のまま契約者が死亡したり、満期を迎えたりした場合、保険金から借入残高を差し引いた額が支払われます。保険会社によっては専用のカードでATMから引き出しも可能ですが、保険種類によっては利用できない場合があるほか、借りるだけ借りて返済しないままでいると、返済額が解約返戻金の額を超えてしまい、保険そのものが失効してしまうことがあります。利用する場合は、返済計画をきちんと立てることが重要です。

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